銅 年内11,000ドル目標。リスクは中国のさらなる景気減速

・銅
筆者 年内予想レンジ(10月25日時点)
現  在:9,700ドル近辺
高値目安:11,000ドル近辺(史上最高値)
安値目安:9,000ドル近辺(10月上旬)
予想傾向:上昇
リスク要因:中国のさらなる景気減速

図:LME銅(3カ月先物 日足 終値) 単位:ドル/トン

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 足元、「脱炭素」は「電化」に関わる金属の需要増加要因でもあります。目下、電気を通しやすい銅、電池の原材料として用いられるニッケルやコバルト、電子製品を作る際に多用されるアルミニウムなどの在庫が減少傾向にあると報じられています。

 先週、LME(ロンドン金属取引所)の銅価格が、4カ月ぶりに1万ドル/トンの大台に達しましたが、その背景は、在庫が記録的な水準まで減少したこととされています。

「電化」に関わる非鉄金属価格の上昇もまた、「インフレ」の一因であるわけですが、人類が、「脱炭素」を主に「電化」で対応しようとしていることが、さまざまな非鉄金属価格を押し上げる大きな要因になっています。

 現時点で筆者は、銅相場は年内、「脱炭素」起因の金属需要増加が続き、上昇する可能性があると考えています(史上最高値を更新する可能性がある)。しかし、下落するリスクもあります。中国の景気減速懸念がさらに強まった場合です。

 世界の銅需要のおよそ半分を占める中国の景気減速懸念がさらに強まった場合、銅相場に強い下落圧力がかかる可能性があります。こうした動きが目立った場合、7,000ドル近辺まで(下落が深い場合はなお)、下落する可能性があるとみています。この時、銅相場がどれだけ下落圧力に耐えられるか、注目です。