先週のドル/円は、あっさりと1ドル=114円台に乗せてしまいました。クロス円も含め、円全面安の動きとなっています。114円台は約3年ぶりの円安水準です。クロス円の中でもカナダ/円やスイス/円は約5年ぶりの円安水準となっています。
114円台は約3年ぶりの水準ですが、この5年間ではおおむね105~115円の間で動いていたことから、114円台はまだこの大きな流れの中で動いている状況です。
しかし、前回のこのコラムでも述べましたが、この3年でみると、ドル/円は105~115円のレンジの中の105~110円を中心に動いていました。
ところが、9月後半以降、このコアレンジ105~110円を上方にブレイクし、110~115円のコアレンジに切り上がった動きとなっています。
ドル/円は9月22日に109.10円近辺を付けてから、約3週間で5円超、上昇しました。かなり、速いスピードで上昇したため、今週は一服感が出る可能性がありそうです。
しかし、2018年の114円台と比べると、その時の114円台の終値は2日間しかなく、114円台の滞空時間が短かったのですが、今週、もし114円台の終値が続くのであれば、115円突破を身構える必要が出てくるかもしれません。
しかし、115円は心理的節目であるため、かなりの攻防になると思われます。115円手前では、利食いや実需の売りが相当出てくることが予想され、どの程度の売り圧力があるのか注目です。
10月1日に公表された日銀短観によると、企業の2021年度下期の想定為替レートは107.64円となっています。輸出企業(大企業・製造業)の想定為替レートでは106.59円とさらに円高の水準となっています。
現在の114円台の水準は、想定為替レートよりも6円や7円超の円安となっているため、その分だけ為替によって企業の利益が膨らむということになります。
この日銀短観の調査期間は8月26日~9月30日(終値111.30円近辺)です。その後大きく円安に動いたことから、輸出企業は為替益を確定するため為替ヘッジ(ドル売り予約)を行っている可能性もありますが、114円台から115円にかけては、さらにドル売りヘッジが出てくる可能性があります。
その売り玉がドル売り圧力となって、115円の防波堤になる可能性があるため、115円が近づくにつれてその値動きには注目する必要があります。