日銀黒田総裁の発言に注目

 また、115円が近づくにつれて日銀の黒田総裁の発言に注目です。

 物価を押し上げる悪い円安の議論が高まってきている中で、黒田総裁は物価目標2%達成のために今の円安を歓迎するのか、あるいは日本売りにつながりかねない円安の加速に、いったんブレーキをかけるような発言をするのかどうか、黒田総裁のコメントに注目したいと思います。

 いったんブレーキをかけるかもしれない、という見方の背景として注目され始めているのが、黒田ラインと言われているドル/円の実質実効為替レートの水準です。

 2015年6月、黒田総裁が「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れていくことはありそうにない」と、120円を超えて進む円安をけん制しました。

 そして、現在のドル/円の実質実効為替レートの水準が、その時の円安けん制をした水準に近づいているためマーケットでは注目され始めています。

 その時の名目為替レートは125円であるため、現状の114円とはかなりの開きがありますが、上記の発言にみられるように黒田総裁が実質実効為替レートに注目していることには留意しておく必要はありそうです。