米国高配当株2:ラザード(LAZ)

 M&A(合併・買収)アドバイザリー、ミドルマーケット・アドバイザリーなどを提供するファイナンシャルアドバイザリー事業(Financial Advisory)と、世界中の投資家に投資ソリューションと投資管理サービスを提供する資産運用事業(Asset Management Businesses)を中心に事業展開しています。

 時価総額は52億ドルで、日本円で約5,900億円となっています。

事業の注目ポイント

 事業の中心はファイナンシャルアドバイザリー事業で、続いて資産運用事業、ホールセール事業(Corporate)となります。

出所:決算データより筆者作成

 ファイナンシャルアドバイザリー事業ではM&Aアドバイザリーなどのサービスを提供しており、日本では2008年、三菱UFJフィナンシャル・グループのモルガン・スタンレーへの出資を手掛けるなどしており、資産運用事業では、日本でも純資産残高が大きい投資信託の一つであるグローバル・ロボティクス株式ファンドの銘柄選定などのサービスを提供しています。

競合他社

 競合他社として、企業、政府および金融スポンサーを含む顧客基盤に、戦略および財務アドバイスを提供する投資銀行顧問会社であるモーリス(MC)、投資銀行と機関証券会社であるパイパー・サンドラ(PIPR)、アドバイザリーに集中する投資銀行のPJTパートナーズ(PJT)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年の高値を超えて推移しており、配当は2020年以降横ばいで推移しています。

 昨年、新型コロナ発生を受けて一時的に株価は下落しましたが、その後、世界経済の回復を受けて株価は上昇し、現在は新型コロナ発生前の水準を超えて推移しています。

 同社は、金融緩和による経済の回復は今後短期的に下振れする可能性はあるものの、長期的には力強い成長を引き続き継続すると見込んでおり、今後も業績拡大と株価上昇が期待されます。

業績動向

 2021年7月30日開示の四半期決算ではEPS・売上高ともに市場予想を上回りました。

 今後も、炭素排出量削減に伴うビジネスチャンスの拡大や、テクノロジーの進歩がもたらすM&A機会の増加が予想されています。

 また、新たなファンドの立ち上げも行っていますが、こちらも大きな需要を得ており、今後も二つの事業がそれぞれ好調に推移することが予想されます。

 次回は10月28日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 欧州において脱炭素化の動きが加速しており、これに伴ってM&Aも加速しています。

 一方で、米国でトランプ米大統領の時に一時環境への対策が頓挫したこともあり、政治的な要因によって欧州でも脱炭素化への動きが停滞し、M&A縮小・業績停滞の可能性がある点には、注意が必要です。

株価動向、配当利回り

配当:1.88ドル
配当利回り:3.75%
株価:50.13ドル(約5,700円)

 権利落ち日は11月上旬予定(権利実施は11月下旬予定)です(2021年10月18日時点で未確定。2020年11月配当を参照)。

 配当は1.88ドル、配当利回りは3.75%、株価は50.13ドルで約5,700円から購入できます(2021年10月15日時点)。

 2018年以降の最高値は57.98ドル、最安値は21.06ドルです(終値ベース)。