JTの投資価値が高いと判断する理由

 上に挙げた3つの不安材料に基づき、株価は売られてきましたが、私は、「売られ過ぎ」と判断しています。3つの不安材料【1】【2】【3】に対する、私の見解を以下に記載します。

【1】国内喫煙者が減少しても、値上げと海外M&Aで高収益を維持してきた

 国内で喫煙者減少が続いてきましたが、JTは値上げによって高収益を維持してきました。2019年10月の消費税引き上げ(8%→10%)時にも、値上げを実施しています。
 JTはM&A(Mergers:合併 and Acquisitions:買収)巧者です。有利な価格で、海外タバコ会社を買収し、海外収益を拡大してきました。タバコ人口が増えている新興国が収益拡大に貢献しています。新興国通貨に対して円高が進むと円に換算した海外収益が目減りすることがありますが、現地通貨ベースで見ると、海外収益は堅調に伸び続けています。

【2】「プルーム」新製品を発売し、次世代タバコで巻き返し

 次世代タバコでJTの「プルーム」が米フィリップモリスの「アイコス」に負けている理由は明らかです。「アイコス」の方が吸い応え(喉に対するキック感とタバコ葉の味わい)が強いからです。JTは、新製品を出し、巻き返しをはかっているところです。吸い応えを強めて「アイコス」に近づけています。
 次世代タバコの国内シェアが下げ止まれば、JT株に対する投資家の不安は低下すると考えています。

【3】ESGファンドなどで投資しない分、タバコ株は世界的に「割安」になっていると判断

 ESGファンドだけでなく、個人投資家でもタバコを吸わない人には「JTに投資したくない」人が多数います。私もタバコを吸わないので、その気持ちが分からなくもありません。

 ただし、買い手が少ない分、株価が低迷し、結果的に株価が「割安」になっていると判断しています。

参考:JT株の過去10年の株価推移(2009年1月~2021年10月(12日)

出所:QUICKより作成

 

 JTは、2010年から2014年まで、海外で利益を成長させる「成長株」として評価されてきました。ところが、2015年から2020年まで、国内での利益減少を嫌気して株価下落が続いてきました。

 これからは、成長株ではなく、割安な高配当利回り株として再評価される可能性が高いと判断しています。成長性は低下しましたが、財務優良、収益基盤が堅固なことを考慮すると、高水準の株主還元を維持していく力があると判断しています。

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2020年10月13日:配当利回り7.7%、JT株の投資価値を見直し