為替DI:10月のドル/円、個人投資家の予想は?

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 DIは「強さ」ではなく「多さ」を測ります。DIは円安や円高の「強さ」がどの程度なのかを示しているわけではありません。しかし、アンケートに個人投資家の相場観が正確に反映されているならば、DIの「多さ」は「強さ」に関係することになります。

「10月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券が先月末に実施した相場アンケート調査によると、個人投資家4,517人のうち39%(1,763人)が、10月のドル/円は「ドル高/円安」に動くと予想。先月に比べて円安見通しは4ポイント増えました。

ドル安/円高」予想は全体の23%(1,042人)で、先月に比べて円高見通しは2ポイント増。

 38%(1,763人)は、「動かない(わからない)」でした。

利上げが先か、緩和縮小か。それが問題だ

 9月23日、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長はFOMC後の記者会見において、「早ければ次回FOMCで緩和縮小の開始を発表する」と事前告知しました。次回のFOMCは11月2、3日なので、約1カ月後ということになります。

 緩和縮小の行程表についてパウエル議長は「終了は2022年半ばごろが適切だろう」と述べました。現在の量的緩和政策のもとでFRBの債券購入額は月1,200億ドル。2022年6月に終了するためには、毎月150億ドルずつ縮小していくとして、8カ月必要。緩和縮小はしたがって、今年の11月から始まるとみられます。

 FRBはインフレに関して「著しくエスカレートしている」という見解を示しています。エスカレートしているけれど一過性なのか、それとも長く続くのか。この点が実は重要なのですが、明確になっていません。ただパウエル議長は、このインフレが想定していたよりも「しつこく持続する」ヤツだとは認めています。

 FRBは、緩和縮小と利上げは別物だと繰り返していますが、市場関係者は、緩和縮小と利上げはワンセットだと考えています。緩和縮小は、FRB金融政策というフルコースのなかの前菜のようなもの。前菜の次はメインの「利上げ」を期待するのは当然です。

 緩和縮小は雇用に関わる政策、利上げはインフレに関わる政策と、目的がそれぞれ違います。最近の経済指標を見ると、インフレ目標が完全雇用より先に達成される可能性が高い。ならば緩和縮小の前に利上げというのが、金融政策的には正しい順番になります。

 しかし、前菜の前にメインを出すのはイレギュラーな順序になってしまう。もっともBOE(イングランド銀行)も、インフレ封じのために量的緩和終了の前に利上げを実施する考えを示しています。BOEはともかく、FRBが逆転技で利上げを先に実施することを決めたら、世界の金融市場は大混乱するでしょう。

 順番を変えられないのなら、最大雇用を達成したと確信するまで緩和縮小を遅らせるという技もあります。緩和縮小を延期するなら、利上げも延期ということになる。ではインフレを放置するのか? ここで、インフレが一過性かどうかという判断が重要な意味を持ってくるのです。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券が実施した相場アンケート調査によると、個人投資家の25%が10月のユーロ/円は「ユーロ高/円安」に動くと予想。ユーロ高見通しは、先月から横ばいでした。

ユーロ安/円高」予想は全体の20%。先月に比べてユーロ安見通しは4ポイント増。

 残り55%は「動かない(わからない)」でした。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券が実施した相場アンケート調査によると、個人投資家の22%が10月の豪ドル/円は「豪ドル高/円安」に動くと予想。豪ドル高見通しは、先月から横ばいでした。

豪ドル安/円高」予想は21%で、先月に比べて豪ドル安見通しは4ポイント増。残り57%は「動かない(わからない)」でした。