米国の不安は一時的と予想

 9月21日以降の日経平均急落は、米国の不安と中国の不安によるものです。私は、米国の不安は一時的で先行き改善に向かうと見ています。ただし、中国の不安は根が深く、世界経済と世界の株式市場へのマイナス影響が長期化するリスクを警戒すべきです。

 日本株は割安で長期投資で買い場、日経平均は4年(景気1サイクル)以内に史上最高値(1989年12月の38,915円)を更新すると予想しています。ただし、短期的には中国リスク顕在化を受けてさらに下落するリスクが払しょくできません。

【1】米長期金利はいったん反落

 以下3つの要因が重なって、一時、米長期金利が上昇し、ハイテク株比率の高い米ナスダック総合指数が調整しました。

●天然ガス市況の高騰を受けて、米インフレ長期化が警戒されたこと。
●米債務上限問題が長びくことで、米国債の不安が高まったこと。
●FRBが11月にテーパリング(金融緩和縮小)開始を示唆していること。

米長期(10年)金利の動き:2020年1月2日~2021年10月1日

出所:QUICKより作成

 私は、米インフレ率が低下するのにしばらく時間がかかると思います。一方、米景気はリベンジ消費が一巡しつつあることから減速が見込まれています。米景気が減速する中でも、米インフレが鎮静化しないことに、不安が高まりました。

 ただし、私は来年にかけて米インフレが低下する見通しは変わりません。米景気は減速するものの、景気後退や失速には至らず、巡航速度での成長(GDPで2%台半ばの成長)が来年も続くと予想しています。米国株はしばらくスピード調整が必要ですが、来年、再び上昇トレンドを取り戻すと予想しています。

【2】製造業の景況好調

 10月1日に発表された9月の米ISM製造業景況指数が改善したことは、米景気が好調であることを再確認する内容で、同日の米国株反発に寄与しました。

米ISM景況指数:2018年1月~2021年9月(非製造業は8月まで)

出所:米ISM供給公社