恒大処理はどうなるか、1つの仮説

 恒大の債権者や投資者には、大きな損失負担が求められると予想しています。ただし、中国国内に連鎖倒産や社会不安を広げないようにするための軟着陸(ソフト・ランディング)のための手は打つと考えられます。

 ここからお話しするのは、あくまでも1つの仮説で、実際にどうなるかまったくわかりません。恒大関連の投資判断は、すべてご自身の自己責任で行ってください。

 私は以下のように考えています。中国当局は、金融機関や投資家に大きな損失を求める一方、4,000社にのぼる取引先に連鎖倒産が広がらないような処理方法を考えると予想しています。

 まず、金融機関に大きな損失負担を求め、さらに機関投資家、投資家の保有債権も大幅にカットされると予想しています。海外の機関投資家にも大きな損失が発生するかもしません。ただし、海外の金融市場を揺るがすほどの規模にはならないと考えています。

 そして、恒大の資産と債務の大幅削減を進めた上で、最後は公的資金を使って救済する可能性がありそうです。そうすることで、取引先に連鎖倒産が広がることは避けると予想しています。

 このような処理方法は、日本でも例があります。ダイエーの99%減資など、社会的影響の大きい大企業の経営が悪化した時は、金融機関が中心に損失をかぶり、取引先への影響がなるべく小さくなるような方法を選びます。中国政府は日本の金融危機、不良債権処理のやり方をよく研究しており、類似の方法が採られる可能性もあると考えています。

 ただ、繰り返しになりますが、以上はあくまでも私見で、実際にはまったく異なる結果になる可能性もあります。