2.3ナノ時代へ向けてEDAの需要増加が続こう

 今3Qは一けた増収、営業減益と振るわなかったものの、会社側はEDAの中長期での需要拡大の見方を変えていません。会社側の今4Qガイダンスは、売上高11.38~11.68億ドル(前年比11.0~14.0%増)、営業利益2.14~2.16億ドル(同9.2~10.2%増)となっており、今3Qから回復するとなっています。また、2021年10月期通期ガイダンスは、前回の売上高40.35~40.85億ドル、営業利益7.94~7.99億ドルから、今回は売上高41.90~42.20億ドル、営業利益7.59~7.61億ドルへ、売上高については上方修正されました。

 来期2022年10月期は3ナノの量産が始まるため、今の最先端ロジック半導体である5ナノ向けの設計需要に、3ナノ半導体の設計需要がすでに新たに加わっています。また、半導体不足を反映して、10ナノ台から40ナノまでの設計需要も多くなっているもようです。最先端から汎用までの半導体需要が中長期で拡大するという見方に立てば、来期は今期よりも業績変化率が高くなる可能性があります。

 このような見方から、楽天証券ではシノプシスの2021年10月期を売上高42.00億ドル(同14.0%増)、営業利益7.60億ドル(同22.6%増)、2022年10月期を売上高49.00億ドル(同16.7%増)、営業利益10.00億ドル(同31.6%増)と予想します(前回予想からは下方修正したが、これは前回予想が強気すぎたため)。四半期ベースでは変動があると思われますが、通期ベースでは順調な業績拡大が予想されます。

3.シノプシスの目標株価を前回の310ドルから400ドルに引き上げる

 今後6~12カ月間のシノプシスの目標株価を、前回の310ドルから400ドルに引き上げます。半導体産業におけるEDAの重要性、世界にEDAメーカーがシノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズ、メンター・グラフィックス(未上場、シーメンス傘下)の3社しかなく(いずれもアメリカ企業)、そのトップがシノプシスである希少性を考慮し、今の高PER(60~70倍)が来期も続くとして、楽天証券の2022年10月期予想EPS 6.05ドルに当てはめました。

 引き続き中長期で投資妙味を感じます。

本レポートに掲載した銘柄:KLAコーポレーション(KLAC、NASDAQ)シノプシス(SNPS、NASDAQ)