マーシャルKのマイナスがS&P500修正の予兆に

 著名投資家マーク・ファーバーのGBDレポートによると、FRBが資産買い入れの段階的縮小に着手する前からすでに、ある米国の「金融流動性指標」が警鐘を鳴らしているのだという。

 その指標の低下は10年間で最悪の株価下落を2回予見しているのだ。しかし、その信号は、はっきりしたものではない。だが、過去に意義ある兆候を送ってきた。それは大まかにいえば、通貨供給量の伸び率と国内総生産のギャップである。「マーシャルK」として経済オタクに知られている指標だ、それが2018年以来のマイナスに転じた。つまり、GDP(国内総生産)が政府のM2の量よりも速く増加しているのだ。そのマイナスは米国経済が米国民に利用できるおカネをすぐに使い果たしながら拡大していることを示唆している。過剰流動性がビットコインからミーム株まで、あらゆるものの上昇を下支えしているとみられる現在、そのマイナスは市場にとって問題になり得る。

出所:マーク・ファーバー博士の「グローバルマクロ戦略思考レポート」(パンローリング)

マーシャルKのマイナスがS&P500修正の予兆に

出所:マーク・ファーバー博士の「グローバルマクロ戦略思考レポート」(パンローリング)

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出所:楽天MT4・石原順インディケーター(赤=買いトレンド・黄=売りトレンド)

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 市場では22日まで開かれるFOMC(米連邦公開市場委員会)でのテーパリングに注目が集まっているようだ。仮にFRBがテーパリングに踏み切っても、株の急落があればすぐに金融緩和に逆戻りするだろう。なぜなら、FRBはすでに「債務の罠」に陥っているからだ。

 ルービニ・マクロ・アソシエーツの会長兼最高経営責任者(CEO)であるルービニ氏は、コネティカット州で開かれた経済フォーラムでブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、「われわれは債務のわなに陥ってしまっているのではないか、というのが私の懸念だ」と指摘。「中央銀行が非伝統的な金融政策の段階的な引き揚げを望む場合、債務比率を踏まえると、債券・信用・株式市場そして経済がクラッシュするリスクがある。中銀はそうした債務のわなに陥ってしまい、政策金利を正常化できなくなる」と述べた。同氏は「債務のスーパーサイクルが起きている」とし、「最終的に中銀はわなにはまってしまった。政策金利を正常化させるという話が出ているが、民間・公的債務の水準を考えた場合、正常化しようとすれば市場も経済もクラッシュする」と指摘した。

出所:9月22日ブルームバーグ 『ルービニ氏、世界的な債務のわな警告-自身は「現実主義の帝王」』

米国の連邦債務(1971~2025年(予測))
2025年にはバイデン大統領の浪費により50兆ドルになると予想されている

出所:ゼロヘッジ

 FOMCのテーパリング議論というのは「一応、出口政策を考えている」というアリバイ作りに過ぎないのではないだろうか? マーク・ファーバーは、「私は金融緩和策のパターンが継続するとみている。

 2021年8月18日にスベン・ヘンリッヒ(投資情報サイト『ノースマントレーダー』を運営)がツイートしたとおりだと思う」と述べている。

「10%の修正がひとつあれば、緩和縮小はないだろう。20%の修正がひとつあれば、さらなる量的緩和があるだろう」(スベン・ヘンリッヒ)

未来の金融政策予測

出所:マーク・ファーバー博士の「グローバルマクロ戦略思考レポート」(パンローリング)

 世界的に流動性が逼迫している兆候が「米ドル高」だ。これは新興国株、特に貴金属に逆風となっている。さらなる注意が望ましい。トランプが選挙に敗れ、ホワイトハウスの娯楽的価値が失われるのではと非常に残念に思っていた。ところが、驚くべきことに、バイデン、ハリス、サキ、ブリンケン、オースティン、ミリーからなる新喜劇は、トランプ時代よりも明らかに私を毎日爆笑させてくれている。この娯楽を与えてくれる現政権に深く感謝したい。

出所:マーク・ファーバー博士の「グローバルマクロ戦略思考レポート」(パンローリング)

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