米国・中国への不安が日本株の上値も抑える

 過去4週間の日本株の上昇は、世界的な株高・世界的なリスク・オン相場の中での上昇ではありませんでした。世界全体を見渡すと不安材料が増えて、世界的に株が調整ぎみに推移した中で、日本株の独歩高となっていました。

 米国株については、以下3つの不安が上値を抑えています。

【1】米国景気減速懸念

 ワクチン接種の進展でリベンジ消費(コロナ禍で抑えられていた消費がまとめて出ること)が盛り上がっていたが、そろそろ一巡。コロナ変異種の感染拡大も逆風に。

 来年にかけて財政のガケが発生する懸念も。今年巨額の財政出動が景気を支えたが、来年は今年よりも財政出動は縮小。それが景気にマイナスに働く可能性も。

【2】バイデン政権が弱体化する懸念

 アフガニスタンでタリバン政権が復権したことを受け、アフガン撤退を性急に進めたバイデン政権への批判が米国内で高まり、大統領支持率が低下。

【3】FRBがテーパリング(金融緩和縮小)を年内に開始する懸念

 FRB(米連邦準備制度理事会)の量的緩和が世界的株高を進める要因となってきただけに、テーパリングへの不安も。

 早ければ9月21~22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で年内のテーパリング開始が決定される可能性もあるが、米景気の減速が徐々に鮮明になってきたことを受けて、早期にテーパリングが決定されるリスクは低下。

 私は、米国経済への不安は一時的と考えています。米景気は来年減速するものの、巡航速度の景気拡大が続くと予想しているからです。米景気が過熱する懸念は薄らぎ、失速することはなく、巡航速度の拡大が来年も続くと予想しています。

 ただし、中国の恒大集団の信用不安が引き金をひいた形で、当面、世界的に株安が続く可能性もあります。最終的に中国政府が恒大集団を救済するとの見方があることから、20日の下げは一定範囲で収まりましたが、救済が見込めなくなると、世界株安がさらに進むリスクがあります。

日経平均は調整が続く

 日本の政局・ワクチン接種進展に期待がありますが、米国株・中国株への不安が広がる中で、日本株にも外国人の売りが波及する懸念があります。長期的には割安な日本株に上昇余地があると考えていますが、しばらく調整局面が続く懸念があります。

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