外食・小売業には株主優待で魅力の銘柄が多いが、コロナ禍でダメージ大

 今日は「優待ただ取り」と言われる手法について解説します。ネットで「優待ただ取り」と紹介されることが多いが、正確に言うと「株主優待を、低コスト・低リスクで得る方法」です。取引手数料・貸株料などのコストがかかります。

 外食・小売業には魅力的な株主優待を実施している銘柄が多数あります。ところが、外食・小売業は、コロナ禍で深刻なダメージを受けました。優待を得るために投資したら株価が下がってしまうかもしれないという不安もあります。

 そんな時、信用取引の一種で「つなぎ売り」を使うことができます。「つなぎ売り」を活用することで、株価下落リスクを負わずに優待を獲得することができます。

「つなぎ売り」を利用して、株価下落リスクを回避しながら株主優待を獲得する方法

 優待は欲しいが、株価変動のリスクは負いたくない時、活用するとよいのが「つなぎ売り」です。「つなぎ売り」は信用取引の一種で、信用口座を開設しないとできません。以下の方法で、優待取りを行うことができます。

優待取り「つなぎ売り」のイメージ図

出所:筆者作成

【参考1】「つなぎ売り」とは
 株を借りてきて売ることを、「信用売り」といいます。株を持っているが、持っている株を売らず、別途借りてきた株を売ることを「つなぎ売り」と言います。株を保有したまま、株が値下がりするリスクをヘッジする効果があります。この状態で、権利確定日を迎えると、優待をもらう権利が確定します。権利が確定したら、保有している株を、借りてきた株の返済に充てれば、取引が完結します。保有株を、返済に充てることを「現渡し(げんわたし)」と言います。

【参考2】「から売り」とは
 保有している株を、借りてきて売るのが「つなぎ売り」でした。それに対し、保有していない株を借りてきて売ることを「から売り」といいます。から売りした株が、値下がりした後に買い戻せば、利益が得られます。たとえば、1,000円でから売りした株が、900円に値下がりしてから買い戻せば、1株につき、100円の利益が得られます。
 ただし、から売りした株が、値上がりしてから買い戻すと、損失が発生します。

「つなぎ売り」のやり方:現物買いと信用売りを同じ株数ずつ行い、優待の権利を得たら、現渡し(げんわたし)で決済する

「つなぎ売り」は、信用取引の一種です。以下の方法で、優待取りに使うことができます。
 9月末に100株保有すると、魅力的な株主優待が得られる銘柄を「A社」として、解説します。  以下の2ステップで、優待取りが完結します。

<ステップ1>

 A社100株の「買い」と、A社100株の信用取引の「売り」を、両方とも行います。買ってから売っても、売ってから買っても、どちらでも問題ありません。同じ価格で行うのが理想です。

 9月末基準の優待を得るためには、9月28日(権利付き最終売買日)までに、ステップ1を行う必要があります。9月28日までに、ステップ1を行い、9月29日(権利落ち日)までポジションを持つと、9月末基準の優待を得る権利が確定します。

<ステップ2>

 優待の権利を得たら、速やかに(原則9月30日に)、現渡し(げんわたし)で決済してください。現渡しとは、保有するA社株100株を、信用で売建(うりたて)しているA社株100株の返済に充てることです。これで、「優待取り」は完結です。

 ステップ1で、A社100株の「買い」と「信用売り」を同じ価格(たとえば1,000円)で行えば、株価が上がっても下がっても、損も得もしません。

 株価が1,000円から900円まで下落すると、買った株に10,000円(値下がり100円×100株)の含み損が発生しますが、同時に、信用で売った100株には10,000円の含み益が発生します。合わせると、損も得もしません(売買手数料は考慮しないベース)。

 逆に、株価が1,000円から1,100円まで上昇すると、買った株に10,000円の含み益が発生しますが、同時に、信用で売った株に10,000円の含み損が発生しますので、合わせると、損も得もしません。

「優待は欲しいが、株価下落リスクは負いたくない」時に、有効な方法です。優待の権利を得たら、速やかに、現渡しで決済してください。それで、完結です。

つなぎ売りを行うにあたってのご注意