40ドル超は絵空事ではない。人類が脱炭素を諦めない限り、超長期視点で銀価格上昇か
銀の急激な太陽電池向け銀需要を支えてきたのが、中国とみられます。先述の通り、太陽電池セルの製造において、中国は圧倒的なシェアを占めているためです。温室効果ガスの排出で突出する同国としては、太陽電池の製造を増やすことで、環境配慮を行っているというアピール効果も期待できるでしょう。
同時に、中国がポーランドのスタートアップ企業のように高い技術を持ち合わせれば、技術の中国という印象を醸成することもできるでしょう。諸問題が山積して半ば内憂外患状態にあるといってもおかしくない中国としては、好印象をつくるため、「脱炭素」に関わる太陽電池の分野で、量・質ともに世界をリードしていきたいとの思惑は少なからず働いているとみられます。
この意味で、銀の主要な消費に成長した太陽電池向け需要は、今後も増加する可能性があるでしょう。そして中国以外の主要国たちも「脱炭素」への取り組みを推進しながら、銀への注目を強める可能性があるでしょう。
現在の銀価格は、1トロイオンス24ドル近辺です。超長期的には、人類が「脱炭素」をあきらめない限り、細かな上下はありながらも、銀価格は上値を伸ばし続ける展開となるのではないでしょうか。例えば、2011年に付けた40ドル超は、あながち絵空事ではないかもしれません。