実は銀の主要生産国だった東欧のポーランド

 冒頭で述べた「ペロブスカイト型」の太陽電池の量産を開始するのは、ポーランドのスタートアップ企業です。ポーランド、太陽光電池…。これらのつながりを考えた時、ふと、筆者の頭に、銀の鉱山生産国のランキングが浮かびました。

 ポーランドは、世界有数の銀の鉱山生産国です。Silver Instituteのデータは、ポーランドはロシアに次ぐ世界7位(2020年)で、同国の世界的な鉱山開発会社KGHM Polska Miedźが同国内に保有する鉱山からの生産量は、数ある鉱山の中で最も多いことを示しています。

 ポーランドの南西部、ドイツとチェコに近い地域は「ポーランドのカッパーベルト」と呼ばれています。ここには、KGHM社のポルコビツェ、ルビン、ルドナなどの複数の鉱山があり、その中の幾つかは、世界で最も深い鉱山の一つとされています。銅鉱床から銅の副産物として銀が生産されているようです。

 同社は第2次世界大戦後に国有企業として設立。現在でもポーランドの政府機関が筆頭株主として、およそ32%の株式を保有しています。また、ポーランドの他、カナダ、米国、チリにも鉱山を有しています。

 国連貿易開発会議(UNCTAD)のデータによれば、ポーランドから輸出される銀などの貴金属は、主に欧州に向かいます。2020年は、およそ半分が英国向けで、ドイツ、イタリアやスイスなどにも輸出されました。

図:世界の銀生産国(鉱山生産) 単位:トン

出所:Silver Instituteのデータより筆者作成