今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは110.45

下値メドは109.10

オリンピックの経済効果は、一般的にかなり誇張されている

 3日(金曜)のドル/円は、「円高」。高値110.07円、安値109.59円、1日の値幅は0.48円。
この日は109.92円からスタート。110.07円まで上を試しつつ110円を挟んだ動きでNY時間発表の8月米雇用統計を待つ。雇用統計の結果は、失業率がさらに下がった一方で非農業部門雇用者数は、思わず腰の力が抜けてしまう弱さ。月曜日のNY市場が休場ということもあり、ドル強気派がロングポジションを縮小して109.59円まで下落。終値は109.70円(前日比▲0.24円)。

 8月の非農業部門雇用者数は事前予想の下限をさらに下回る弱さとなりました。前回7月分は上方修正されましたが、今回の落ち込みを補うには全く足りず。雇用統計の2日前に発表されたADP雇用データが予想より低い+37.4万人だったことは、今考えると警告サインだったのかもしれません。もっとも先月はADPの+32.6万人に対して雇用統計は+94.3万人と、両データの関係性は最近薄れているため、見過ごされてしまいました。

 米国景気のソフトデータとして最も重要な製造業ISMの9月雇用指数が9ヵ月ぶりの低水準に悪化したのですが、その理由は売り手市場のなかでの労働者の供給不足と説明されていました。ところが、雇用統計の結果を受けて米労働長官は「悪化はデルタ株感染拡大の影響」と述べています。レジャー部門や小売業の雇用が増えなかったのは、供給不足ではなく、需要不足だということです。

 米国のワクチン接種率は、少なくとも1回受けた人の割合が全人口の62%。しかし頭打ち状態になっていて、ついにあのブラジル(63%)にさえ抜かされてしまいました。ちなみに英国やドイツは65%、日本は58%。デルタ株感染拡大が影響しているとすれば、米雇用市場の伸び悩みは当面続く可能性があります。

 8月米雇用統計は実際、何がよくなかったのか。次ページで解説しています。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成