今日の為替トレッキング

今日の一言

あなたの心が正しいと思うことをしなさい。どっちにしたって批判されるのだから。- ルーズベルト大統領夫人

No Expectations

 BLS(米労働省労働統計局)が9月3日に発表した雇用統計によると、8月のNFP(非農業部門雇用者)の増加数は、市場予想の75.0万人を大幅に下回り、わずか23.5万人にとどまりました。これは事前予想の下限よりも、さらに悪い数字でした。

 詳細を見ると、これまでのけん引役だった、レジャー・サービス部門の雇用が増えていないことに気づきます。バイデン大統領は「デルタ株感染拡大が悪化の原因」と認めています。

 失業率は0.2ポイント低下して5.2%で、こちらは予想とほぼ一致。労働参加率は、予想61.8%に対して61.7%とほぼ横ばい。労働市場への復帰が進んでいないことを示しています。

 平均週間労働時間は34.7時間で、前月との34.8時間からわずかですが下がりました。人手不足のため会社員が残業を増やしたという兆候は見られません。平均労働賃金は、前月比0.6%増、前年比4.3%増といずれも上昇。低賃金の接客業の採用が減った結果、平均値が押し上げられた可能性があるので、必ずしも賃金の上昇圧力とはいえません。

 非農業部門雇用者数は2020年4月時点に比べて、1,700万人増加しました。しかし新型コロナ流行前の2020年2月から比べると、まだ530万人少ない状況。

 米国のワクチン接種率の伸びが鈍化していることを考えると、新型コロナに関して雇用の状況が劇的に改善することは期待できない。また、ハリケーンの影響で次回の雇用者数はさらに減少する可能性がある。それでもFRBのタカ派は緩和縮小の早期開始を主張するのか興味あるところですが、いずれにしても、今回の雇用統計の中に、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が緩和縮小を9月に開始する理由を見つけたとは到底思えません。