FIRE後の税金2:給与・事業所得があるパターン・実際に税金はどのくらいかかる?

 それでは、給与の金額が100万円、事業所得が500万円、社会保険料控除や基礎控除など各種控除が200万円の例で考えてみましょう。

 給与所得は100万円-給与所得控除55万円=45万円なので、345万円が課税所得です。

課税所得:345万円=45万円(所得税対象額)+500万円(事業所得)-200万円(各種控除)

※所得税の場合。住民税はこれとは多少異なる

 課税所得345万円に対する所得税はおよそ27万円、住民税はおよそ35万円となり、合わせて62万円ほどの税金が課税されます。

 総合課税は累進税率なので、所得が大きければ、30%、40%、もしくはそれ以上の高い税率で課税されるケースもあり得ます。また、前回お話ししたように、住民税は今年の分が翌年課税されるため、1年遅れで納税が必要です。

 単に収入のみを見るのではなく、税金や社会保険料をどれだけ支払う必要があり、その結果手残りはどのくらいなのかをあらかじめシミュレーションし、思わぬ資金不足で想定外の預金の切り崩しにならないように気をつけてください。

FIRE後の税金3:不動産収入がある場合は?

 FIREの収入源として代表的なものは、不動産を賃貸して収入を得ることだと思います。

 不動産の場合、物件ごとに年間どのくらい賃料を受け取ることができるかが事前に把握しやすいので、プランニングが立てやすいという点で、FIREの収入源には向いています。

 一方、個人で不動産を所有している場合は、「不動産所得」として他の所得と合算して総合課税により、所得税・住民税の課税対象となります。

 受け取れる賃料を単に計算するだけでなく、諸経費を差し引いた所得の金額、そしてそこから所得税や住民税を差し引いた後の実際の手残りの金額を把握した上で、生活費として十分まかなえるかを考えておく必要があります。

 例えば資産が1億円あり、年間に必要な生活費が400万円と試算されているとしましょう。

 もし不動産から得られる賃料が年間500万円だとしても、そこから諸経費や社会保険料、税金を差し引いた手残りが300万円しかないとなれば、不足する100万円を切り崩すか、生活費を切り詰める必要が生じてしまいます。

 とにかく税金や社会保険料などのコストがどのくらいかかるかをしっかり把握した上で、無理のないプランニングを立てるようにしましょう。

 不動産の場合は、ある程度まとまった賃料収入があれば、法人を設立した方がトータルのコストが節減できる可能性が高まります。

 もし、法人で不動産を保有し、その会社から給料を受け取ることにより収入を得るのであれば、前ページで説明した給与所得のパターンになります。

 年間の賃料収入がいくら以上であれば法人設立が有利かは、人それぞれの状況により全く異なりますので一概には言えませんが、大体の目安としては年間1,000万円くらいです。

 法人設立によるコスト節減に関心があるのであれば、公認会計士・税理士などの専門家に相談の上、シミュレーションしてもらうことをお勧めします。