私たちが見ている決算の数値は何を表している?

 3月決算企業の第1四半期決算の発表がピークを迎えています。個人投資家の皆さんの中にも、企業が発表する「決算短信」などで、業績を確認されている方も多いのではないでしょうか?

 ところで、決算短信で開示されている決算のそれぞれの数値、いったい何を表しているか分かりますか。

 上場している企業そのものに加え、連結子会社などを合算した「企業グループ」としての業績が開示されています。これを「連結決算」と言います。

 最近、株式投資を始めた方は、「え? それがどうかしたの?」と感じるかもしれませんが、実は企業の決算は「連結決算」と「個別決算(単体決算)」の二つがあります。個別決算とは、上場企業そのもの1社だけの決算です。

 ところが、現在の決算短信には、連結決算しか掲載されていないのです。

以前は個別決算も掲載されていたが…

「現在は」と申し上げたのは、以前の決算短信には、連結決算と個別決算の両方が掲載されていた時期もあったからです。

 また、個人投資家のバイブルともいえる『会社四季報』も、今は連結決算しか載っていませんが、以前は連結決算と個別決算の両方が載っていました。

 なぜ個別決算は掲載されず、連結決算のみが掲載されるようになったのでしょうか。この理由は、上場企業は企業グループとして活動していることが多く、上場企業そのものの個別決算による業績を見ただけでは、実質的な企業業績を測ることができないからです。

 さらに近年では、上場企業そのものはホールディングカンパニー化(子会社の株を保有するだけの会社)しているケースが多く、なおのこと個別決算のみでは企業実態を表すことはできなくなりました。

 こうした理由から、企業実態を表すことができる連結決算が、より重視されるようになったのです。