金(ゴールド)にはどのような魅力があるのか?

 以下は筆者が考える、金(ゴールド)の(魔力とも言える)魅力です。ここでは、できるだけ素の金の魅力を抽出するため、株式や通貨などの「市場」との関わりを省いています。

図:金(ゴールド)の魅力(魔力?)

出所:筆者作成

 モノの本には、金(ゴールド)は人を虜(とりこ)にする魅力を持っている、という趣旨の記載があります。

 上記の通り、人類が金の虜になってしまう要因に、「量が少ないこと」「機能的であること」「輝いていること」「価値がゼロにならないこと」「価値を保存できること」そして、「世界共通であること」が挙げられます。

 端的に言えば、量が少なく、幅広い用途に使うことができ、それでいて魅惑の輝きを放ち、価値がゼロにならないばかりか数千年も価値を保存でき、しかも世界共通、なのです。地球上で、このような量が少なくかつ高機能の物質は、稀有な存在と言えるでしょう。

 以下の図は、金(ゴールド)の地上在庫と世界の人口の関係を示しています。この間、金の地上在庫は増加しているものの、世界の人口が増加しているため、人類一人あたりの金の増加率は限定的です。

図:金(ゴールド)の地上在庫と世界の人口

出所:Gold Hub、国連のデータをもとに筆者作成

 長期的には、主要生産国からの金(ゴールド)の生産量は、頭打ちになりつつあります。このため、人類一人あたりの金の数量は今後、減少する可能性があります。

 人類は歴史的に、金(ゴールド)の「希少性(=類まれな高機能+量が少ないこと)」に魅了されてきました。そしてこのような状況は、今後も、人類が金に希少性を感じ続ける限り、継続すると、考えられます。