拙著の結論
ついでに、拙著の「結論」もお伝えしておこう。以下の2行が結論だ。
読者には、お金のことをよく知った上で、お金で他人に騙されることなく、自分のお金は淡々と合理的に扱って、普段はお金のことなど忘れて、お金を使うときには気分良く使って、大いに人生を楽しんで貰いたい。
本の著者としては、過剰に手の内を晒しすぎたかも知れないが、筆者は、このように考えているし、この結論は、本連載の読者とも共有したい。
本の売れ行きは、運に任せることにする。
【コメント】
10年以上前の記事だが、趣旨に大きな変更はない。お金の意思決定にあって、過去に拘ることがマイナスなのも、人間(=他人!)の影響を警戒すべきなのも、当時と今とで「全く」ちがわない。ただし、本文中で「国内株50%」、「先進国株35%」、「新興国株15%」の配分をすすめているが、最近のデータを見ると、ここまで細かく配分する必要はなさそうに思うし、国内株式と外国株式を半々でもいいし、全世界株式一本でもいいだろう(どれがいいかは、プロにもアマにも判然としない)。10年前のデータからの計算と比較して、直近では内外株式リターンの相関が大きく高まっており、加えて為替レートの変動は小さくなっていて、日本株に大きなウェイトを置くことの必然性が低下した。今の投資家は、元の記事の配分で投資してもいいし(筆者が自分の資金ならそうしたい)、例えば「世界株式のインデックス・ファンド1本」でもいいと思う(どちらがいいかは判然としないが、今の意思決定としては「微差」だ)。(2021年8月2日 山崎元)