大手金融株は今が安値か?高配当による「支え」も

 コロナ禍が株式市場にとって完全な逆風ではないことは、もう説明する必要はないでしょう。外食や旅行、エンターテインメントなどには強い逆風となり続けていますが、半導体、IT分野などには追い風となっており、該当する銘柄の株価がそれを如実に表しています。

 現在、国内でもコロナ新規感染者が増加していますが、かつてと同じように重症者が増え、医療体制がひっ迫しているわけではありません。

 また、イギリス(ロンドン含むイングランド)では7月19日から、屋内でのマスク着用義務など、新型コロナウイルス対策の規制がほぼ全て撤廃されています(注:自主的にマスクを着用する市民は多い)。

 イギリスはコロナワクチン接種で先行した国ですが、7月20日時点で1回以上接種した人の割合は68.2%に上り、これが規制撤廃の背景となっています。

 日本はまだ同34.4%ですが、65歳以上の高齢者に限定すると同82.3%です。政府が掲げる「11月末までに希望者全員に接種」は達成可能と見ることができます。

 日本もいずれ規制が撤廃され、経済活動が再開されていくと想定されます。これまでのように、いわゆる「ゼロコロナ」を目指すのではなく、コロナとの共生にかじが切られていくのでしょう。

 7月19日に厚生労働省は、中外製薬から申請されていた新型コロナウイルス感染症の治療薬「抗体カクテル療法(「カシリビマブ」と「イムデビマブ」)」について特例承認を与えました。

「レムデシビル」、「デキサメタゾン」、「バリシチニブ」に次ぐ第4の治療薬です。この抗体カクテル療法は、軽度から中等度の患者への治療薬として使われます。

 アメリカのトランプ前大統領が、コロナ感染後入院した際にも使用されたことでも知られています。中外製薬によると、海外で行われた治験では入院や死亡のリスクをおよそ70%減らすことが確認されたということです。

 同社は5月に、この療法が薬事承認された場合、日本政府が調達することで合意したと発表済です。

 ワクチン接種が進み、新治療薬も承認された中で株式市場にもポジティブな変化が見られてくると考えています。

 まず注目したいのは外食や旅行、エンターテインメントなど強い逆風を受けたセクターの反発ですが、長い営業活動制限によって信用不安が生じているものも少なくありません。極度に株価が低迷している銘柄には特に注意をしたいところです。

 一方、コロナ禍によって株価が低迷していたとしても信用不安が生じていないのが「金融株」です。大手金融機関となればなおさらです。株価が安くなったことにより配当利回りが上昇しているセクターでもあります。

 マクロ経済の好転を見通した場合、今の株価低迷が「安値買い」につながる可能性もあると思われます。ここでは予想配当利回り4%超、10万円以下で投資可能な銘柄を紹介します。