李克強指数に見る中国の実態

 中国景気は、中国が発表するGDPとはまったく異なり、激しく浮沈を繰り返していると考えています。それが、李克強指数【注】の動きに表れています。

【注】李克強指数:中国の李克強首相は、首相になる前の2007年に「中国のGDP統計は信頼できない。鉄道貨物輸送量・銀行融資残高・電力消費の変化を見た方が実態が分かる」と語ったとされる。その話を受け、鉄道貨物輸送量25%、融資残高35%、電力消費40%の構成で作られた指数。中国経済の実態をよく表していると評価されている。

李克強指数の推移:2007年1月~2021年5月

出所:ブルームバーグより作成

 中国政府が発表するGDP成長率とは異なる、中国景気の実態がここから見て取れます。中国景気が以下のように推移してきたことが分かます。

【1】2008年にリーマンショックで悪化。
【2】2009年は巨額(4兆元)の公共投資実施で急回復。
【3】その後、徐々に景気が減速。2015年にチャイナショック起こる。
【4】2016年以降、景気回復。
【5】2018~2019年に入り、米中貿易戦争の影響で景気失速。
【6】2020年1-3月期、コロナ危機で大きく落ち込み、ただし4-6月以降急回復。
【7】2021年4-6月、景気減速の可能性があるが実態は現時点でよく分からない。

 中国景気の実態は、李克強指数に加え、中国でビジネスを行っている日本企業の声からも分かります。その意味で、これから本格化する4-6月期の日本企業の決算発表に注目しています。中国でビジネスを行っている、中国関連株と言われる日本企業の声から、中国の足元の実態が読み取れる可能性があります。

 日本株の先行きを考える上で、当面、中国経済の状況から目が離せません。これからも定期的に、中国経済の分析をお届けします。

▼著者おすすめのバックナンバー
2021年3月24日:米中対立はバイデン政権でも激化必至、世界経済へのダメージはコロナより深刻?