知っておくべき米国株投資の注意点5:円貨決済と外貨決済、どちらがいいのか

 よくある質問で、円貨決済と外貨決済のどちらを選んだらいいのか? という問い合わせがきます。

 結論として、外貨決済をうまく利用することをおすすめしています。

 まず、最初に日本円から投資する場合は円貨決済しか選択肢はありません。しかし、米国株を売買するたびに、円貨決済をしていると為替手数料が毎回かかることが一番の問題です。他にも為替を交換するレートが約定のタイミング次第で、はっきりしないこと。また、税金上の適用為替も実際交換するレートで計算されるので、税金上のメリットを受けることができません。

 ところで、外貨決済で売買をしていると、実際の利益がよくわからないという声も聞きます。その場合は、「当初の投資金額」と「現在投資している資産額や受取配当金の合計」を比較すればよいでしょう(特定口座の場合)。

 また、取引口座の残高は税金上の損益(譲渡損益)を表示しているだけで、受取配当金の利益は含まれていないので、注意しておきましょう。

知っておくべき米国株投資の注意点6:委託注文と仕切り注文の違い

「委託注文」や「仕切り注文」といわれても、投資初心者にはあまりなじみのない用語だと思いますが、これらは外国株式を購入する時の注文方法です。

 まず、委託注文は、使っている証券会社に海外の証券取引所への注文を「委託」するという形の注文方法です。ほとんどの個人投資家は、この方法で取引をしています。

 対して仕切り注文は、外国の証券取引所に注文を出すのではなく、使っている証券会社が取引の相手となって、株式の売買をする注文です。

 この仕切り注文の場合、証券会社と相対取引となるため、証券会社が「提示した株価」での売買となります。一般的な株式売買手数料はかからないものの、売買価格が実際の株式市場と同じではないという点に注意が必要です。

 仕切り注文に際して株価に手数料が上乗せされるため、前日の市場価格よりも高い株価であることがほとんどです。

 使っている証券会社で担当者が付いている個人投資家の方は、米国株の仕切り取引の売買を盛んに提案されることがあるようですが、知らないうちに高い手数料を支払っている可能性があり、要注意です。

知っておくべき米国株投資の注意点7:証券会社によって取扱銘柄が大きく違う理由

 日本株であればどの証券会社であっても取引できる銘柄に大差はありません。しかし、米国株は証券会社によって取扱が数十〜数千銘柄と大きな差があります。それは単に検討できる銘柄が少ないという意味だけでなく、米国株の情報や取引方法にも差があるということです。

 米国株では、たとえ時価総額が1兆円を超えるような大型銘柄であっても、ほとんど情報がないことも珍しくありません。つまり、日本での米国株投資とは、まだまだ証券会社が対応し始めた段階であるということです。

 一方で、ネット証券大手では最近、米国株に力を入れているため、銘柄数を増やしたり、情報提供やサービス向上のためのシステム開発も積極的に行っています。

 証券会社によって、米国株投資の取引のしやすさの格差が広がっていくことになると考えられます。