持ち株の株価が2倍以上になってから売ったことありますか?

 筆者はセミナーの講師をするとき、参加されている個人投資家の方に「持ち株の株価が2倍以上になってから売ったことのある人は?」と質問することがよくあります。すると、ほとんどの人は手を挙げません。つまり、株の利益を大きく伸ばすことができず、売ってしまっている…ということです。

 10%や20%の利益で売却してしまうことが習慣となると、株式投資で大きく資産形成をすることは難しいと言わざるを得ません。

 買った株のすべてが上昇することはなく、ざっくり言えば半分は買った後値下がりします。そのため、どうしてもある程度の損切りは発生します。

 したがって、株価が上昇した株の利益で、値下がりして損切りした株の損失も賄う必要があるのです。

 仮に、損切りによる損失が5%、値上がりする銘柄と値下がりする銘柄が半々ずつとすると、10%の利益で持ち株を売却すれば差し引き5%の利益となります。

 ただ、実際は相場環境が悪い時は、値下がりする銘柄の方が圧倒的に多くなるので、10%の利益で持ち株を売却していると、おそらく投資成果はマイナスになると思います。これが20%であっても、少しプラスになる程度でしょう。

心理に打ち勝つために必要なのは「ルール」

 値上がりすると思って買った株も半分は値下がりする、相場環境が悪ければもっと多くの株が値下がりする…こうした状況の中、株式投資でしっかりと利益を得るためには、「値上がりした株の利益を伸ばす」ことが重要です。

 もし、持ち株を売却する際の利益が平均して50%だとしたら、トータルでそれなりの利益を得ることができます。バブル相場などで、株価がさらに大きく伸びたとしたら、大きな利益を獲得できる可能性も大いに高まります。

 ところが人間の心理として、少し株価が上昇した状況では、「今のうちに早く売っておかないと利益が減ってしまう!!」という思いが強くなり、結局は利益を伸ばせずに売ってしまうのです。

 こうした心理状態に打ち勝つには、利益を伸ばすための「ルール」を設けることが必要になってきます。