PERから見て割安になった成長株はキケン?

 今ご説明したことともつながるのですが、成長株の株価が下落して、PERから見ても十分に割安になることがよくあります。

 でも筆者は、こうした株に安易に投資するのは危険ではないかと思っています。

 成長株は、将来の高い成長を見込んで株価が形成されますので、PERという視点から見れば常に割高になります。ですから、成長株がPERから見て割安になるというのは、おかしなことなのです。

 仮に、PERが50倍で推移していた銘柄の株価が3分の1以下になり、PERが15倍にまで低下したとしましょう。確かにPER「だけ」見れば割安なのですが、筆者はおそらくこのような銘柄は買わないと思います。

 過去の経験則から見ても、もともと成長株として評価されていたものの、株価が下落してPERが割安な状態になった銘柄は、その後、売り上げや利益の成長がストップしてしまうことが多いようです。

 つまり、プロ投資家などが、その銘柄の売り上げ・利益の成長が止まったことを見越して、株価が先だって下落している、というのが実態なのです。

 ただし、「〇〇ショック」のように、将来の高い成長が見込まれる成長株であろうがなんであろうが、みな大きく売り込まれてしまうような状況では、PERから見て十分買える水準の銘柄も出てくる可能性が高いです。そうした面では、株価の急落は成長株を安く買うことのできるよい機会の一つといえるでしょう。