「前回のビットコイン暴落」後は日米株式も乱高下した

 需給変動の影響が大きく投機的な色彩が強いビットコインが下落を続けると、株式など他リスク資産に与える影響が警戒されます。

 米調査会社(CoinDesk Research)によると、2021年1-3月期までにヘッジファンドなど機関投資家がリスク資産の分散投資先として暗号資産投資を拡大させ、レバレッジ(借り入れ)を活用して投資していた個人投資家も増加したと報じられました。

 金融業界では、今回の暗号資産波乱を一時的とみる向きがある一方、一段の調整を予測する見方もあります。米最大手の投資銀行は、「今回のような極端な価格変動で機関投資家にとっての魅力は低下する」との見解を示しました(21日)。

 ビットコインへの投機熱とその後の急落は、レバレッジを利用した投資家にポジション解消(売り)を迫り、一時的にせよ市場心理が冷え込む可能性があります。

 また、ポートフォリオ上の損失を補填するための現物株売りが増えるならその影響は軽視できません。

<図表2:前回のビットコイン相場暴落と日米株式を振り返る>

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2017年初~2018年末)

 図表2は、前回の「ビットコイン暴落」(2017年12月17日の1万9,051ドルから急落に至った局面)に、米国株(NYダウ平均)と日本株(日経平均)の推移を重ねて示したものです。

 ビットコインは当時の高値から8割安に相当する4,000ドル割れまで下落する弱気相場となりました。その過程を振り返ると、米国株や日本株も少なからず影響を受けた経緯がみられます。

 ただ、2017年と2018年はFRB(米連邦準備制度理事会)が断続的に利上げを実施していた局面で、米長期金利(10年国債利回り)は上昇傾向をたどり、2018年2月に2.8%、5月には3.1%超まで上昇。ビットコイン暴落にやや遅れて日米株式も乱高下しました。

 本年は、暗号資産に投資していたファンド筋から損失補填のための株式売りが増えるか否かが警戒されます。