今日の注目通貨:NZドル

「利上げクラブ」部員募集中

 今年前半から続いてきたドル高に天井感が出てきて、マーケットには「ドル弱気」ムードがだんだんと広がっているようです。

 米大型景気対策やワクチン接種スピードなどのドル買い材料が出尽くしたこともありますが、それ以上に重要なのは、FRB(米連邦準備制度理事会)以外の主要中央銀行が、次々と利上げ時期の前倒しを表明していること。

 RBNZ(NZ準備銀行)はこの日の政策会合で、利上げ予定時期を2023年から2022年下半期に早め、今後2年間で150bp程度の引き締めをする考えを示しました。RBNZが参加することになった「利上げクラブ」には、すでにノルウェー銀行、カナダ銀行、イングランド銀行といった中央銀行が入部していて、年内中に資産購入のペースを落としたり、利上げをしたりすることに前向きな姿勢を示しています。次はECB(欧州中央銀行)の番だとの憶測が広がっていて、来月のECB理事会に注目が集まっています。

 しかし、緩和縮小に対しては慎重な姿勢をとってきたFRBも、最近は発言に微妙な変化が見えています。FRBの重鎮であるクラリダ副議長は26日、「今後の会合で債券購入の縮小を検討する可能性がある」と、初めて公に緩和縮小の可能性について言及しました。

 その意味でも、28日発表の4月米個人消費支出(PCEコア・デフレーター)は重要です。FRBもインフレ指標として注目していて、結果が強ければ、緩和縮小への期待がヒートアップするでしょう。個人消費支出は、米国のいくつかの州で失業率給付金が終了したため、支出が減少するとの予想です。ただし、雇用拡大と米政府は扶養者控除の拡大で相殺されるとの見方もあります。

 世界の中央銀行はコロナワクチン接種の普及を前提として、次の目標に向けて動いています。一方日本は、大規模接種が今始まったばかり。しかも緊急事態宣言も延長がほぼ確実になるなかで、日銀が公式に緩和縮小できるタイミングが見つからない。ドル/円が円高に動かないのは当然かもしれません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作