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消費者物価指数予測:5月、6月が4%以上、コア指数は5月、6月が3%以上

 5月12日に発表された4月の米国消費者物価指数は前年同月比で+4.2%と、予想されていた3%台を通り越し、大幅な上昇となりました。

 FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は1月14日に、テーパリング(量的緩和策における金融資産の買い入れの段階的縮小)の開始について、「積極的に検討するかなり前にその意思を伝える」旨を発言し、4月27、28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見においても、テーパリングの議論開始について、「まだそのときではない」という発言をしています。

 そのような中で、消費者物価指数が急騰してしまったのですが、「テーパリングの開始について、積極的に検討するかなり前に伝える」の「かなり前」の部分については、もはや整合性を取ることは難しいのではと思います。

 5月28日にはFRBが重要視しているPCEデフレータの発表を控え、ますます米国の物価動向への関心が高まっています。そこで、今後の米国の消費者物価指数とPCEデフレータについて、足もとの数値から予測をしていきたいと思います。

 まずは、消費者物価指数についてみていきましょう。直近の2021年4月の値は前年同月比+4.2%と大幅上昇、コア指数も+3.0%と目安である2%を大きく上回った値となっています。

米国消費者物価の推移(2019年1月~2021年4月)

出所:米労働省労働統計局

 今後の予測をする上ではコロナウイルス感染症の影響を低減させるために、食品・エネルギーを除いたコア指数の1年前の値である+1.4%と直近値である+3.0%の平均値の+2.2%で上昇していくものと仮定します。

 また、本来であれば季節調整をすべきですが、ここでは季節調整はしないものとします。

 今後の予測は次のようになります。

出所:米労働省労働統計局の公表データを基にマネーブレイン作成

 消費者物価指数は5月、6月が4%台、7月以降も3%台の高水準となっています。コア指数のほうは5月、6月に3%台、7月以降も目安である2%を上回る値となっています。

 この計算をさらに先までも行ってみると、2021年12月の値は、消費者物価指数+3.0%、コア指数+2.7%であり、年末においても高止まりしている値となっています。