「上がるも下がるも外国人次第」の日本株市場に戻る

 過去30年、日本株を動かしていたのは外国人でした。外国人が買い越した月は日経平均が上昇、売り越した月は日経平均が下落する傾向が、30年以上続いてきました。

 外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。

 近年、日本銀行が巨額のETF(上場投資信託)買い付けを始めて、外国人売買の影響力がやや低下していました。

 日経平均が高値を取る時に買っているのが外国人であることは変わりませんし、日経平均が暴落する時に売っているのが外国人であることも変わりませんが、外国人が売っていても、日経平均があまり下がらないことが増えました。

 日銀の買いが岩盤となって、下値を支えていたからです。

 しかし日銀は3月に金融政策を変更し、「年6兆円の日本株ETF」買い付け方針を撤廃しました。5月は日経平均が大きく下がった日でも日銀の買いはまったく出ていません。日銀の買いが無くなって、外国人次第で動く元の日本株市場に戻りつつあります。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2021年5月24日(外国人売買動向は5月14日まで)

注:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計

 上のグラフを見れば明らかですが、2021年に入って、日本銀行の買いが少なくなると、日経平均の細かな上下動まで、ほとんど外国人売買によって決まるようになっています。

 2~3月は外国人が売ったり買ったり方向が定まらなかったため、日経平均も方向感のない展開となりました。5月に外国人が売り越したことで、日経平均はいったん急落しました。

 ただし、その後、継続して売ってきてはいないので、日経平均は持ち直しているところです。