成長株の3条件を満たしていると確信した企業でも、成長できずに終わることがある

 どんなにしっかり調査して成長の3条件を満たしていると確信した企業でも、投資した後、成長ストーリーが崩壊して、株価が暴落することがあります。

 私がファンドマネージャーをやっていた1987~2013年はあまり成長企業が出にくい時代だったこともありますが、私が「これはすばらしい」と確信した企業でも、実際に大きく成長できたのは1割か2割しかありません。

 失敗例に、たとえばシャープがあります。1990年代には輝く未来の成長企業に見えていました。液晶の主要技術をほとんど押さえていて、「将来テレビがすべてブラウン管から液晶に置き換わるときに、大きく成長する」と、成長3条件を満たす高成長企業として私は確信していました。

 実際、ブラウン管はほぼすべて液晶に置き替えられ、液晶市場は急成長しました。ところが、シャープは液晶で儲けることはできませんでした。知的財産権の防御ができていなかったシャープの液晶技術はほとんど無償でアジア企業に流出し、低コストで大量生産するアジア企業に利益を奪われてしまいました。成長を確信していた企業が成長できなくなってしまう例は、他にも枚挙にいとまがありません。

 ソフトバンクグループは、大成功した成長企業の1つですが、それでも、何度も成長のビジネスモデルが崩壊し、立て直して成長してきた経緯があります。ソフトバンクになぜ、「バンク(銀行)」という名称がついているか、分かりますか? 成長が期待される銀行ビジネスを将来やっていこうと創業者が考えていたからです。実際、経営が悪化した日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)を買収して、銀行業への進出を行ったことがありました。ところが、後年、銀行で成長できる時代でないと悟り、あおぞら銀行は売却して撤退しました。