4月CPIは強かった 

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、物価上昇はあるとしても一過性であるというスタンスを変えていません。しかしマーケットでは、FRBの認識は間違っているのではないかという警戒が強まりつつあります。FRBはこれ以上「ハト派」にはなれないわけで、 インフレ上昇を示す指標が今後も続くなら、いずれかの時点で、ガイダンスを変更する時期がやがてやってくる。一過性という発言を続けるほど、政策変更をしたときの衝撃度は高まります。

 金融市場の記憶にあるのは「テーパー・タントラム」。「テーパー・タントラム」とは、8年前の2013年5月に、当時のFRB議長のバーナンキ氏が量的緩和の縮小(テーパリング)を示唆したことが引き金となって巻き起こった国際金融市場の大波乱のことです。

 その「テーパー・タントラム」が今年再びやって来るのではないかと、マーケットは警戒しています。FRBが否定すればするほど、かんしゃく玉(タントラム)は大きくなり、爆発したときの威力も大きくなります。

 ただ、先週の雇用統計の結果が悪かったことは事実としてあります。FRBは「雇用市場と金融政策はセットだ」と表明しています。マーケットの関心は、いったん新型コロナから米指標に移ったようです。