保守的業績見通しは四半期ごとに見直される!?

 ただ、主力銘柄、しかも足元の「コロナ経済」を追い風にする銘柄となれば、急落分を早い段階で埋め、再び株価は上方に向かうのではないか? と見通す投資家もいることでしょう。

 その観点では「押し目買い」のポイントを探ることになりますが、今回の相次ぐ急落の要因を、アナリスト予想との乖離(かいり)が嫌気されたことに限定せず、別の視点、主に投資家の行動から考えることに広げておきましょう。

 今回の動きは、ゴールデンウイーク直前であり、すべての銘柄が昨年のコロナ安から反転、急上昇している銘柄だということをまず頭に置いておきましょう。

 今年のゴールデンウイークは4月29日(木)が祝日、その後4月30日(金)は営業日でしたが、そのあとすぐに5月5日(水)まで5連休でした。5月6日(木)と5月7日(金)は営業日ですが、すぐに土日となりました。

 とくに注目すべきは5月3日(月)~5月5日(水)の期間で、この期間は米国市場の取引は通常通りで、東京市場は休場というスケジュールです。あるかもしれない米市場の波乱に対処することができないため、短期売買を行う投資家はゴールデンウイーク前にポジションの規模を落としておくのが通例です。

 足元の東京市場は全般高値圏にはあるものの、目立った上昇を示していたわけではないことも、中長期投資家の利食い売りにつながったかもしれません。決算発表はどうしても売買手控えになる側面があり、地合いによって新規買いが極端に減ることもあります。

 このような視点からは、今回、多くの投資家が一度利益を確定したい、あるいは様子見となるタイミングだった背景が浮かび上がってきます。結果的に多くの主力株が下落に見舞われたことから、「アナリスト予想との乖離」がことさら強調されたと感じられます。

 今後想定されることとしては、まず「会社見通し」が四半期ごとに上方修正されていく可能性でしょう。

 コロナ経済に大きな変調は生じていません。各国中央銀行は金融緩和を継続し、各国政府は財政出動を続ける公算です。そして、ワクチン接種の進行により経済活動は徐々に再開されていく見通しです。

 それでもコロナによる不透明感は拭えないため、今回の会社見通しはかなり「保守的」と捉えられます。投資家もポジションを落としたことによって、キャッシュ比率が高まっており、これは「買い余力が大きい」ということでもあります。

 決算発表が終了する頃(発表のピークは5月14日)、企業業績の様子が見えてくるにしたがって、ゴールデンウイーク前とは異なる雰囲気が東京市場に生じてくるかもしれません。そうであれば、主力株の急落場面は「押し目」となります。「押し目買いを考えたい主力銘柄」を例として取り上げてみます。