※このレポートに関するYouTube動画を視聴いただくこともできます。
著者の天海源一郎氏が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【日本株】連休とオリンピック期間中 株式投資の注意点(天海 源一郎氏)」
---------------------------

★筆者が選ぶ銘柄一覧は3ページに掲載しています。

好決算にもかかわらず売られる主力株が続出、全体相場に影を落とした

 ゴールデンウイーク直前の4月30日(金)、ソニー(6758)株が7.7%安と大きく売り込まれました(4月30日終値:1万900円/安値引け)。東京市場を代表する優良株とされるこの銘柄がここまで売られることはまれで、他銘柄の売買動向にも悪影響を及ぼしたと見られ、4月30日の日経平均は0.83%安となりました。

 ソニー株が売られた要因は、4月28日に2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が6,600億円になりそうだと発表したことです。会社見通しはアナリスト予想の平均値約7,300億円を下回っており、「失望売りが出た」と説明されています。

 ただ、前期(2021年3月期)の連結純利益(※)は1兆1,717億円と、ソニーグループとして初めて1兆円を超える高水準です。

※注:この期は米国会計基準のため単純に今期予想と比較できない。

 ちなみに同じ4月28日に今期見通しを発表した「村田製作所(6981)」も、2022年3月期の連結純利益(米国会計基準)が過去最高の2,400億円になる見通しだと発表したものの、やはりアナリスト事前予想(約2,600億円)を下回ったことから4月30日の取引で▲3.5%と売られました。

 このような「今期見通しが失望され売られる」動きは、4月上旬から表れていました。「安川電機(6506)」が、4月9日に2022年2月期の連結純利益を前期比67%増見通しと発表したものの、翌営業日4月12日に一時8%も下落しました。

 その後、「日本電産(6594)」は慎重な今期見通しと創業者がCEOから退くことが嫌気され、「ディスコ(6146)」は2021年4-6月期の連結純利益が前年同期比34%増となったものの、アナリスト事前予想を下回ったことで売られ、「エムスリー(2413)」は2021年3月期純利益が前期比75%増、11年連続の最高益を記録したものの、2022年3月期の業績見通しをコロナ影響が不透明として示さなかったことから、決算発表翌営業日の4月26日に売りを浴びる格好となりました。

 いずれも好決算(実績)にもかかわらず売られたのです。株式投資の正攻法は「好業績銘柄に投資する」ですが、それに疑問符がついた格好です。