感染拡大の第4波で日本の景気回復に後ズレ不安

 4月の日本市場では、日経平均が節目とされてきた2万9,000円を一時割り込み、TOPIXは2.3%下落しています(28日終値)。

 変異種の影響が大きくなっている新型コロナウイルスの感染再拡大に歯止めがかからず、政府は4都府県について4月25日から5月11日までを目途とする「緊急事態宣言」を発令しました。

 日本株を取り巻く外部環境として、米中の景気回復基調と米国株高に伴うリスク選好姿勢は下支え要因ですが、国内経済の活動停滞懸念と景気回復の後ズレ不安が上値を抑える状況となっています。

 図表2で示す通り、日本と米国の新規感染者の増勢を比較すると、(感染者数の規模差はあっても)米国の新規感染者数が落ち着いてきた一方、日本の新規感染者数は急増しています。ワクチン接種の普及が他国より遅れている現実もあり、内需を取り巻く経済環境は厳しい状況です。

図表2:日本のウイルス感染再拡大(第4波)は株式相場の重石

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年3月初~2021年4月27日)

 ワクチンの接種普及が進む米国では総接種回数が2億回を超え、ワクチン接種率は人口の約4割に達しました。個人消費と雇用を中心に景気の回復基調が鮮明となっています。

 一方、日本のワクチン接種率は約1%と遅れており、OECD(経済協力開発機構)加盟37カ国で最下位。アジアでも中国、インド、シンガポール、韓国に遅れをとっています(ブルームバーグ報道)。

 4月にバリュー株物色の動きが後退した要因として、日本のコロナ対応力の遅れと景気回復期待の後退が影響を与えています。とはいえ、国内でも感染拡大動向がピークアウトをみせる状況となれば、悲観を織り込んで低調だった株式市場が底入れ感を強める可能性もあり注目したいと思います。