今後は実需筋に注目

 4月16日時点で、裁定売り残が8,583億円まで減少する一方、裁定買い残は1兆781億円まで増加しています。久々に、裁定買い残が売り残を上回るようになりました。空売りを積み上げていた投機筋の買い戻しが進むと同時に、逆に投機的な買いポジションを持ち始めている投機筋が出てきていることがわかります。

 以上から、日経平均先物「踏み上げ」による、先物買い戻しは終了したと言えます。今後は、先物主導の空中戦が終わり、景気実態を見きわめた上での、外国人投資家「実需筋」の売買が重要になってきます。つまり、海外年金基金や中東やアジアのソブリン・ウエルス・ファンド(国家資金ファンド)が、日本株の組入比率を増やすか減らすかによって日経平均の動きが決まると考えています。

 私は、これから米景気・中国景気拡大の恩恵を受けて、年後半には日本の景気回復もより鮮明になってくると予想しています。ワクチン接種の遅れで内需回復が遅れても、世界景気回復の恩恵によって、日本の景気回復が進むと見ています。そうなれば、外国人投資家「実需筋」による日本株の買い付けが増加し、日経平均は年初来高値を更新していくと予想しています。
ただし、そうなるまで、今しばらく時間が必要です。しばらくスピード調整が必要と考えています。

▼著者おすすめのバックナンバー
2021年4月26日:緊急事態宣言でも、日本株は日銀が買い支え。景気敏感株「買い場」と判断2021年4月22日:2日続けて日経平均急落、米中対立激化の日本株への影響も要警戒
2021年4月19日:「景気敏感バリュー株」買い増し好機と判断する理由。今年はオールド産業復活?