日経平均先物「踏み上げ」は終了

 日経平均の上昇に、需給面で先物「踏み上げ」【注】が寄与していたことは、本連載でたびたび指摘してきました。

【注】踏み上げ
日経平均が下落すると予想して日経平均先物の売り建てを積み上げていた投機筋(主に外国人)が、日経平均がどんどん上昇していく中で、損失拡大を防ぐために日経平均先物の買い戻しを迫られること。

 それが、東京証券取引所が発表している「裁定売り残」の推移から読み取れます。詳しく説明すると難解なので、説明は割愛して結論だけ述べます。2つ覚えてください。

【1】東京証券取引所が発表している「裁定売り残」の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「売り建て」の変化が表れます。売り建てが増えると裁定売り残が増え、売り建てが減ると裁定売り残が減ります。

【2】東京証券取引所が発表している「裁定買い残」の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「買い建て」の変化が表れます。買い建てが増えると裁定買い残が増え、買い建てが減ると裁定買い残が減ります。

 それでは、2018年以降の日経平均と、裁定「売り残」「買い残」の推移をご覧ください。

日経平均と裁定売り残・買い残の推移:2018年1月4日~2021年4月27日(裁定売り残・買い残は2021年4月16日まで)

出所:東京証券取引所データに基づき楽天証券経済研究所が作成

 2021年4月16日時点で、裁定売り残は、8,583億円まで減少しました。コロナショック直後に約2.6兆円あったのと比べて大幅な減少です。日経平均が下落すると予想して先物売り建てを積み上げていた投機筋(主に外国人)が、日経平均がどんどん上昇していくため、損失拡大を防ぐための先物買い戻しを迫られてきたことがわかります。つまり、先物の「踏み上げ」が起こっていました。

 注目いただきたいのは、上のグラフに矢印を書き込み「踏み上げ」と書いてあるところです。2か所あります。2019年10~12月と、2020年6月~2021年3月です。ともに、日経平均が大きく上昇する中で、裁定売り残高が減少しています。ここで「踏み上げ」が起こっています。