収益性の高い低位のバリュー株(高配当利回り株)に注目

 2022年3月期は、コロナ禍からの回復で総じて大幅な増益が期待できる状況とみられ、それに伴う増配の動きも増加すると想定されます。

 とりわけ、高配当利回り銘柄の増配は他の増配銘柄と比較して評価余地が高まりやすいと考えられ、引き続き高利回り銘柄の注目度は高めたいところです。

 足元で伸び悩んでいる米長期金利も、好調な経済指標が相次ぐ状況下で、再度騰勢を強める可能性は高く、バリュー株と位置付けられる高利回り銘柄の追い風となるでしょう。

 下表は、10万円未満で買える配当利回り3.0%以上の銘柄の中から、直近実績の売上高営業利益率が10%以上の銘柄をスクリーニングしたものです。

 新興市場のパフォーマンスが良化して個人投資家の投資マインドが一段と好転すれば、中小型の低位株などにも短期資金は集まりやすくなりそうです。また、収益性の高い銘柄は、景気改善で売上高が回復した際に、配当の原資となる利益水準の回復幅がより大きくなる可能性があるでしょう。

収益性良好・10万円未満で買える高配当利回り銘柄(2021年4月16日時点)

コード 銘柄名 予想
配当利回り
株価 時価総額 売上高
営業利益率
8934 サンフロンティア不動産 4.43 948.0 462 22.63
8628 松井証券 4.28 935.0 2,424 36.89
9412 スカパーJSAT 3.63 496.0 1,474 10.94
1605 INPEX 3.48 776.0 11,348 32.23
6345 アイチ 3.43 846.0 662 10.04
7722 国際計測器 3.40 735.0 104 15.83
7775 大研医器 3.40 589.0 188 14.01
7030 スプリックス 3.25 953.0 166 15.09
配当利回り平均 3.66
注:予想配当利回りの単位は%、時価総額の単位は億円、売上高営業利益率の単位は%。株価は2021年4月16日終値、単位は円。

銘柄選定の要件

  1. 予想配当利回りが3.0%以上(2021年4月16日終値ベース)
  2. 株価が1,000円未満(同)
  3. 実績(2020年度)売上高営業利益率が10%以上

サンフロンティア不動産(8934・東証1部)

どんな銘柄?

 稼働率の低い収益不動産やリニューアルを要する建物を取得、顧客視点での付加価値創出など高収益の不動産に再生し提供するリプランニング事業が主力となっています。

 売買・賃貸仲介やホテル運営なども手掛け、ベトナムやインドネシアなど海外にも進出しています。東京都心部の中小型オフィスビルに特化した展開が特徴となります。

業績見通し

 2021年3月期営業利益は76億円で前期比54.1%減益の見通しです。リプランニング事業における販売棟数の減少、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるホテル運営事業の収益悪化が減益決算の背景となります。

 ただ、想定よりも賃料下落や空室率上昇を抑制できたとして、3月29日には従来予想の69.3億円から上方修正しています。2021年3月期は大幅減益ながら前期比並みの年間42円配当を計画しています。

 2022年3月期はコロナ禍による悪影響一巡で収益の回復が想定されます。2020年3月期まで増配傾向となっていたため、収益の回復幅次第では配当計画の引き上げ余地もありそうです。

ここがポイント

 コロナ禍を契機とした働き方改革に伴い、企業のオフィスニーズも多様化することが想定されます。全般的にオフィス空室率は高止まりする可能性もありますが、「不動産再生」ニーズは逆に広がる公算も大きいとみられます。

 また、同社では、その地域ならではの魅力や特長をテーマにした地方創生事業に進出しており、現在は佐渡島で展開中です。地方創生関連銘柄としての側面もあります。