これまでの戦略、機能しない?

 個人消費は米GDP(国内総生産)最大の構成要素です。3月小売売上高の強さは、米経済の強さを示しています。ただし今回については注意が必要。というのは、バイデン政権がコロナ対策として現金を給付したおかげで、米国人の家計所得が平均で20%もアップしたことによる一時的な「爆発」という可能性がある。このペースで米国経済が拡大すると判断するのはリスクかもしれません。

 しかし、気になるのは、米長期金利の動き。雇用統計、ISM、CPI、小売売上高と、これだけ強い米指標が並んでいるにもかかわらず、10年物国債利回りは逆に、1.57%まで低下しています。

 米長期金利の上昇が止まったということは、短期的には、日米金利差を根拠にしたドル高・円安のトレードは機能しない、見直しが必要ということになります。

 ワクチン、バイデン景気刺激策、インフレ期待と長期金利上昇といった「ドル高材料」をほぼ消化してしまって、ドルはいったん「上限に達した」という見方が強まっています。