今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは109.25

下値メドは108.30

世界の石油会社が2050年までに「ネットゼロ」を達成するために必要なコストは、160兆ドル

 14日(水曜日)ドル/円はやや円高、108円台後半での取引となりました。
この日は108.91円からスタートして、東京時間午後につけた108.96円が高値。109円に届かなかったのは今月初めて。NY時間に安値108.61円をつける。終値は108.75円で、4営業日連続で前日比円高。

 ユーロ/ドルは上昇。1.19ドル台後半からスタートして、欧州時間には大台1.200ドルに迫る1.1993ドルまでユーロ高。1カ月ぶり以上の高値をつけました。

 マーケットは「ドル安、円高、ユーロ高」。ドル安は、米経済の先行きに不安が持ち上がっているから、ではありません。実際のところ全くその逆で、経済指標を見ると、先週金曜日に発表された3月雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が+91.6万人に大幅増加し、失業率は6.0%まで低下。景気先行きを占うISMは、製造業、非製造業ともに過去数十年間で最も高い数字を記録。

 3月の米CPIデータ(消費者物価指数)は、強気の予想をさらに上回る前年比+2.6%という結果。インフレ率はFRB(米連邦準備制度理事会)の目標値(+2.0%)を超え、今後数ヵ月でさらに「倍近く」まで上がる可能性がいわれています。

 さらに、この日(15日)発表された一連の経済指標も良好。特に3月の小売売上高は前月比+9.8%(前回▲2.7%)という強さでした。

しかし、気になることが…。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

自分で薪を割れ、二重に温まる – ヘンリー・フォード

これまでの戦略、機能しない?

 個人消費は米GDP(国内総生産)最大の構成要素です。3月小売売上高の強さは、米経済の強さを示しています。ただし今回については注意が必要。というのは、バイデン政権がコロナ対策として現金を給付したおかげで、米国人の家計所得が平均で20%もアップしたことによる一時的な「爆発」という可能性がある。このペースで米国経済が拡大すると判断するのはリスクかもしれません。

 しかし、気になるのは、米長期金利の動き。雇用統計、ISM、CPI、小売売上高と、これだけ強い米指標が並んでいるにもかかわらず、10年物国債利回りは逆に、1.57%まで低下しています。

 米長期金利の上昇が止まったということは、短期的には、日米金利差を根拠にしたドル高・円安のトレードは機能しない、見直しが必要ということになります。

 ワクチン、バイデン景気刺激策、インフレ期待と長期金利上昇といった「ドル高材料」をほぼ消化してしまって、ドルはいったん「上限に達した」という見方が強まっています。

今日の注目通貨: ドル/円

 ドル/円は円高方向に向かっています。今はまだ動きが緩やかですが、いずれ大きな動きにつながるかもしれません。マーケットは今、米国の経済成長や景気回復に対する超楽観的な見方と、 インフレ急上昇に対する不安感が交錯しています。

 世界景気回復は、ワクチン供給による新型コロナ収束の期待によって支えられてきました。今年になってからのマーケットは、コロナ感染者数よりもワクチン接種率の方に関心が移っていました。しかし、ここにきて、ウイルス変異株の拡大によって、世界経済が正常に戻る前提が危うくなっています。トレード戦略を修正しなければいけない時期にさしかかっているのかもしれません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成