今回のサマリー

・来るマクロ環境は経済指標など相場の羅針盤がうまく働かない
・投資家の多くが得心のいく「よい予想」ほど裏切られやすい
・米株式相場は、高値波乱のステージながら、上げ潮クライマックス

景気回復が急加速

 米国を筆頭に世界経済はコロナ禍の克服へ進みつつあるといえるでしょう。まだ不確実性を完全に排除はできません。それでも、米国では、コロナ・ワクチン接種が進んで新規感染者数が減る一方、超ド級の金融緩和は継続され、さらに米バイデン政権の1.9兆ドル経済対策に巨額インフラ整備計画が加わる方向です。

 IMF(国際通貨基金)の最新経済予想(2021年4月改訂)によれば、米経済は、GDP(国内総生産)成長率(前年比)が、2020年の▲3.5%から2021年は+6.4%へと急反発する見立てです。2021年中に、デフレ・ギャップ(需要不足)解消どころか、インフレ・ギャップ領域に一気に浮上する公算です。

 株式相場は本来(すなわち通常の景気サイクルであれば)、金融緩和継続下の低金利と潤沢なマネー、景気回復に伴う業績改善という好条件がこれから重なる、金融相場クライマックス・ステージです。ところが、コロナ禍という歴史的一大事の克服過程では、通常の景気サイクルと異なる様相が、相場の動きに影響すると警戒されます。