ポストコロナを視野に経済見通しと企業景況感が上向き

 米国市場の株高は、経済見通しや企業景況感の改善に支えられています。IMF(国際通貨基金)は、4月6日に発表した最新の「世界経済見通し」で、2021年の世界の実質GDP成長率予想を+6.0%に上方修正しました(1月時予測:+5.5%)。

 実質6%の成長となれば、昨年の落ち込み(▲3.3%)を埋め戻す以上の成長となり、1980年以降で最大の伸びです。2022年の成長率予想も+4.4%に引き上げられました(1月時予測:+4.2%)。

 IMFは、昨年のコロナ危機以降の中央銀行と政府による積極的かつ大規模な対応の効果で「経済の崩壊は阻止された」と指摘しました。

 なかでも、ポストコロナ(感染収束後)を見越した2021年の米国の成長率予想の高さ(+6.4%)と上方修正幅(+1.3%)が目立ちます。

 バイデン政権は6日、「米国の全成人が4月19日までにワクチンの接種対象になることを目指す」と表明しました。1.9兆ドルの追加景気対策成立に続き、インフラ整備投資拡大を主軸とする2兆ドル規模の「米国雇用計画」を発表。米国の経済成長と生産性向上を後押しすると見込まれています。

 世界のGDPのうち約4割を占める米国と中国の成長率見通し向上が、グローバルグロースの回復をけん引すると予想されます。

<図表2:世界経済の見通しに上方修正の動き>

(出所)IMF調査・予測より楽天証券経済研究所作成(2021年4月)

 このような経済見通し改善を受け、ISM(全米供給管理協会)が発表した3月のPMI(購買担当者景況感指数)でも、製造業と非製造業(サービス業)の双方で企業景況感が急回復しました(図表3)。

 3月の製造業PMIは64.7と37年ぶり高水準に上昇。非製造業PMIは63.7と調査開始以来で過去最高に上昇しました。中国を中心とする世界経済と貿易量の持ち直し、ワクチン接種の普及加速、活動・移動制限の緩和、経済活動の復活期待が重なり、コロナ禍で打撃が大きかったサービス業で景況感が盛り返している状況が浮き彫りとなりました。

 新型コロナウイルスが抑圧してきたペントアップデマンド(繰り延べ需要)が顕在化してきたことで企業マインドは改善しています。したがって、アナリストの業績見通し(市場予想平均)も持ち直しの動きを強めています。

<図表3:急改善している米国の企業景況感>

 *ISM PMI=全米供給管理協会が発表する購買担当者景況感(50=企業景況感の分岐点)
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年1月~2021年3月)