4月の株式相場は強気だが、セオリーは「10月末買い・4月末売り」

 株式投資をする場合、基本的に10月から12月の押し目を拾って来年の4月までに手じまえば、運用リスクを減らすことができるという実感が筆者にはある。ちまたには多くの「パターン分析」、「サイクル論」、「アノマリー」などがあるが、「10月末買い・4月末売り」ほど、長期にわたり有効性を発揮している戦略を筆者は他に知らない。

 昨年の10月末買いは現状、功を奏しているが、「10月末買い・4月末売り」が成功するか失敗するかに関して、筆者はあまり気にしていない。この手法が失敗する事も当然計算に入っているからだ。失敗への対処法として、大きな損失が発生しないようにストップロス注文を置いている。備えあれば憂いなしだ。

「10月末買い・4月末売り」という半年投資が相場に有効かどうかはさまざまな見方があるが、50年以上の母集団に対して「10月末から4月末までの半年間のパフォーマンス」が「4月末から10月末までの半年間のパフォーマンス」を上回っていれば有効である。過去のデータを見る限り、「10月末買い・4月末売り」というパターンの優位性は現在も継続している。

 予測というのは数学ではなくアート(芸術)である。ずいぶん昔に『ラリー・ウィリアムズの相場で儲ける法』(日本経済新聞出版社)という本を読んで驚いたことがあったが、相場には実に多くのアノマリーやバイアスが存在する。ある時期は神がかり的に当たるが、外れだすとしばらく止まらなくなるのがアノマリーやバイアスである。有名なアノマリーとして「1月効果」や「月末効果」などがあるが、近年はその有効性も低下している。しかし、「10月末買い・4月末売り」という半年投資だけは、近年も有効に機能し続けている。

日経平均CFD(日足)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

日経平均CFD(週足)

(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

日経平均のシーズナリーチャート(過去20年の平均)

出所:エクイティクロック

NYダウのシーズナリーチャート(過去20年の平均)

出所:エクイティクロック

 ここで、より詳細な米国株(S&P500)のシーズナリーサイクルを紹介しよう。分析者は親子二代にわたって米国株のシーズナリーパターンを研究しているジェフリー・ハーシュである。彼は『トレーダーズ・アルマナック』という会社をやっていて、日本ではパンローリングから翻訳レポートも出ている。

 下のチャート "1949年以降の S&P 500のシーズナルパターン"を見ればわかるように、3月15日を境にした最近の弱さは、歴史的な季節の流れに沿ったものである。今週の弱さは、先月説明したように、トリプル・ウィッチングの翌週の典型のパターンであり、ストック・トレーダーズ・アルマナック(STA)2021 年版にも詳細が記載されている。今日の終盤の反発は励みになるが、3 月の最後の数日間は第 1 四半期末の売り圧力に屈することが多く、3月下旬の弱さは、4月上旬に回復することが多い。

 このような第1四半期末のプレッシャーが軽減されれば、4月はいつものようにアップサイドのパフォーマンスが期待できる。実際、最近の弱さは4月の上昇パターンに適している。4月の上昇相場では、ベスト6ヶ月間の MACDシーズナル売りシグナルがしっかりと設定されることになる。過去31年間でS&P500 の損失は7 回のみで、4月は安定したパフォーマンスを示している。4月は第2四半期の最初の月であり、新たな決算シーズンを迎える。これにより、新型コロナウィルスの影響を受けた昨年の数字よりも前年比が改善し、株価の上昇が期待される。

出所:トレーダーズ・アルマナック 3月29日号

 ジェフリー・ハーシュの解説にもあるように、31年間でS&P500の損失は7回のみで、4月は安定したパフォーマンスを示している。

S&P500のシーズナルパターン

出所:「トレーダーズ・アルマナック」