3月決算企業の本決算発表が佳境に

 3月決算企業の本決算発表が佳境を迎えています。上場企業の決算発表は、3月決算企業であれば次のようなスケジュールで行われます。

  • 7月下旬~8月中旬:第1四半期決算発表
  • 10月下旬~11月中旬:第2四半期決算発表(いわゆる「中間決算」)
  • 1月下旬~2月中旬:第3四半期決算発表
  • 4月下旬~5月中旬:本決算発表

 第1四半期決算では4~6月の3カ月の累計、第2四半期決算では4~9月の6カ月の累計、第3四半期決算では4~12月の9カ月の累計、そして本決算では4月~翌年3月の1年間の累計の決算発表が行われます。

 そして、四半期決算と本決算では、投資家が注目する内容が大きく異なるということを知っておく必要があります。

四半期決算での注目ポイントとは

 通常、本決算発表の際、来期の業績予想が合わせて発表されます(予想が困難であるとして発表をしない企業もあります)。

 四半期決算発表では、この業績予想と実際の決算内容を照らし合わせ、業績予想に対してどの程度進捗(しんちょく)しているかを投資家は確認します。

 例えば2024年3月期の第2四半期決算(2023年4~9月の6カ月累計)にて、当期純利益が70億円だったとしましょう。一方、2024年3月期通期の業績予想として当期純利益が100億円とすると、進捗率は70%となります。

 1年間で100億円の利益を予想している中、まだ半年しかたっていないわけですから50億円の利益をあげれば予想通りということになります。それが70億円の利益を半年で挙げているわけですから、おそらく年間100億円の予想よりかなり良い数値が期待できるとして、株価が大きく上昇する要因になります。

本決算発表での注目ポイントは四半期決算発表とは異なる

 ところが、本決算発表では注目ポイントが四半期決算発表とは異なります。

 例えば2023年3月期の本決算発表にて示された2024年3月期の業績予想において、当期純利益が200億円だったとします。

 そして2024年3月期の本決算発表にて、当期純利益が250億円だったと発表されました。これは予想を大きく上回るサプライズ決算といえます。

 ところが決算発表後、株価は大きく値を下げてしまいました。それはいったいなぜなのでしょうか?

 実は2024年3月期の本決算発表にて示された2025年3月期の業績予想にて、当期純利益の予想が150億円だったのです。2024年3月期からみると100億円の減益の予想です。

 このように、本決算発表で投資家が注目しているポイントは、当期(1年間)の実績が予想より上回っているかどうかではないのです。来期の業績予想が、当期の数値と比べてどうなのか、これに注目しているのです。

 株価というのは、常に将来を見越して動きます。2024年3月期決算の実績数値がいかに素晴らしいものであったとしても、過去の数値は投資家によってもはやどうでもよいものです。それよりも投資家は将来、つまり2025年3月期の業績はどのようになるのかに注目しているのです。

個人投資家が本決算発表シーズンに気を付けるべき点とは?

 では、こうした点を踏まえて、個人投資家は本決算発表にどのように臨むのが望ましいのでしょうか。

 まず、本決算発表直前での新規の買いは控えた方が無難です。決算発表前から保有継続しているのであれば、筆者はそのまま保有し続けていてもよいと思いますが、本決算発表直前での買いはかなりリスクが高いです。

 本決算発表にて、来期の業績予想がどのくらいの数値なのか、事前に予想するのは困難です。特に成長株において、投資家の期待を裏切るような低い業績予想数値が発表された場合、株価はあっという間に大きく下落します。時にはストップ安を交えて20%、30%と下落してしまうこともあります。

 また、本決算発表の前に、業績予想の上方修正として、2024年3月期の決算内容が上方修正されることがあります。しかし、それを好感して飛びついて買ったものの、その後行われる本決算発表時に発表される2025年3月期の業績予想が期待外れの内容だった場合、株価が急落する恐れが高まります。

 この時期、2024年3月期の決算内容が良いことを理由に買うのはあまり得策ではありません。

 投資家の中には、2025年3月期の業績予想を独自に予測し、あえて決算発表前に買って発表後の株価急騰を狙う人もいます。

 しかし、特に投資経験の短い個人投資家の方は、その行動は株価急落に巻き込まれる可能性の高い、リスクを伴ったものになりますので控えた方がよいと思います。

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