※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]日経平均上昇 米中 景気好調 1ドル110円台の円安も追い風
---------------------------

米景気好調・ドル高(円安)を好感、日経平均上昇

 先週(3月29日~4月2日)の日経平均株価は1週間で677円上昇し、2万9,854円となりました。先々週(3月22~26日)の下落(615円)を1週間で取り返しました。

 日経平均が下げたところですかさず押し目買いが入る強い動きです。世界景気・企業業績の回復色が強まってきたことを受け、外国人が日本株の組み入れを引き上げる動きが続いていると考えられます。

日経平均推移:2020年10月1日~2021年4月2日

出所:楽天証券経済研究所が作成

 昨年10-12月期から、日本の企業業績の回復色が強まっています。中国および米国の景気回復の恩恵を受け、自動車、半導体など製造業の回復が予想以上に急ピッチです。

 世界景気の回復に弾みがついてきたことを受けて、昨年11月から世界的に株の上昇が加速しており、日経平均もその流れで上昇してきました。

 ところが2月以降、日経平均はやや上値が重くなりました。上のチャートをご覧いただくとわかる通り、2万8,700円~3万500円の範囲で保ち合いとなっています。米長期金利の上昇に歯止めがかからないことが不安視され、米国でナスダック総合指数などの調整が大きくなった影響を受けました。

 私は2~3月に日経平均の上値が重くなったのは、金融相場から業績相場への転換点での足踏みと見ています。景気・企業業績の回復力が弱い間、米国FRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和が原動力となって、世界的な金余りが株価を押し上げてきました。それが、米長期金利上昇によって終わる不安が出ました。

米長期金利(10年国債利回り):2020年1月2日~2021年4月2日

出所:楽天証券経済研究所が作成

 私は、本連載で繰り返している通り、米長期金利が1.7%に上昇しただけで世界的な株高が終わるとは考えていません。それには2つ理由があります。

【1】これから世界景気・企業業績の回復が加速すると予想している。
【2】米長期金利が上昇したと言っても、まだ1.7%台。FRBは、短期ゼロ金利と量的緩和を続けており、全体として緩和的な環境は変わっていない。