要因4:グローバル・サプライチェーンの混乱

 ここのところグローバル・サプライチェーンの混乱を引き起こす事件が相次いで起こっています。

  • 2月に米テキサス州を襲った寒波や停電の影響で、同州の石油化学工場の操業がいまだに回復せず、自動車産業や住宅産業向けの樹脂などの供給が滞っていると報じられています。
  • 半導体の需給逼迫(ひっぱく)が続いており、十分な半導体が入手できないため、生産調整を余儀なくされる企業が増えています。さらに日本では、3月19日に発生したルネサスエレクトロニクスの半導体製造工場の火災によって自動車生産に影響が拡大しています。
  • 3月23日、スエズ運河での大型コンテナ船の座礁によって海上輸送に支障。29日にコンテナ船は離礁し、動き始めましたが、400隻以上の足止めが解消するのに3日半かかるとのこと。解消がスムーズに進むかは不透明で、混乱の収束に時間がかかるとの見方は強いです。スエズ運河はアジアと欧州を結ぶ海運の大動脈であり、原油関連も多く物流への影響が長引きそうです。

 これらの事件は、今すぐマーケットに影響を及ぼすようなことはありませんが、今後、生産活動や物流にどの程度影響してくるのか、2月、3月、4月の経済指標に注目する必要があります。

 4月は、1月、2月、3月と同じように景気回復楽観論の流れが続きそうですが、同時に上記のようにさまざまな影響も出始めていることから、これまでの流れを起こしている要因とその影響とのせめぎ合いになるような動きになるかもしれないため、より慎重に相場に臨む必要がありそうです。

 ドル/円は、1年ぶりに110円台に乗せてきましたが、このまま115円、120円に進む勢いはないとみています。しばらくは、要因と影響のせめぎ合いで居場所を探すような動きになりそうです。