日経平均は週足ベースで反発、TOPIXは目先の調整に入った

 新年度相場入りとなった先週末4月2日(金)の日経平均は2万9,854円で取引を終えました。前週末終値(2万9,176円)からは678円高、週足ベースでも反発に転じています。

 先週は、米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが引き起こした追証デフォルトに関連する金融機関の損失発生が市場を揺さぶる場面があったものの、相場が大きく崩れることはなく、また、3月決算企業の配当落ちの分をしっかり埋めたことを考えれば、堅調さを維持したと言えます。

 公表された米国の追加経済政策を好感する動きや、落ち着いてきた米国の金利上昇ピッチ、そして、改善傾向が続いた日銀短観と、約37年ぶりの高水準だった米ISM製造業景況指数などの経済指標の強さも追い風となりました。ここ最近は軟調気味だった成長株(グロース)が復調を見せ、景気敏感株との両方が買われる場面もあり、「いいとこ取り相場」の復活も感じられます。

 今週もこの流れが続けば、日経平均の3万円台超えの場面も十分に有り得そうですが、まずは足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)とMACD(2021年4月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の動きを振り返ると、多くのイベントが控える中、週半ばの3月31日(水)までは25日移動平均線を意識した様子見の展開となっていましたが、米国の追加経済政策と日銀短観の結果を好感した4月1日(木)からは買いが優勢となり、翌2日(金)も「窓」空けで一段高となりました。

 5日と25日の移動平均線が「ゴールデンクロス」となったほか、下段のMACDも0円ラインを超えてシグナルとの上抜けクロスが出現しています。上方向への意識を強めており、日経平均の3万円台乗せを射程圏内に捉えていると言えます。今週末はオプション取引・mini先物取引のSQが控えていますが、需給面で勢いがつく展開となれば、前回のレポートでも指摘した「上値ライン(2月16日と3月18日の直近高値どうしを結んだ線)」に挑む場面もありそうです。

 その一方で、日経平均に比べて動きがさえなかったのはTOPIX(東証株価指数)です。

■(図2)TOPIX(日足)とMACD(2021年4月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末2日(金)のTOPIX終値は1,971pでした。前週末終値(1,984p)からは小幅に反落しています。

 週初の29日(月)は節目の2,000pを回復して戻り基調でスタートしたのですが、次第に失速していきました。5日と25日移動平均線の範囲内で推移し、週を通じてすべてのローソク足が陰線となっており、売りに押され気味だった印象です。下段のMACDも上抜けできていない状況です。

 とはいえ、「日経平均よりもTOPIX優位」の状況が最近まで続いていましたし、下値をトライする動きでもなかったため、TOPIXが弱気に転じたというよりは、目先の調整に入ったと見た方が良さそうです。また、米国の追加経済政策を受けた半導体関連株への買いや、米国とは反対にコロナ禍の状況が芳しくない国内の状況もあり、コロナ禍に伸びていた情報・通信関連株が見直された面もありそうです。