リベンジ消費のインフレは「あだ花」? 

 新型コロナによって消費者の需要が消滅したわけではない。潜在需要は自粛期間中も積み上げられ、あるいは再生されています。第2四半期からの爆発的な繰越需要を期待する声が増えています。

 繰越需要とは、新型コロナによる移動制限(ロックダウンや緊急事態宣言)のために購買行動を控えていた消費者の需要が、規制解除とともに一気に回復することです。「リベンジ消費」と呼ぶ人もいます。ステイホームで使うあてがなく貯金したお金があって、さらにバイデン大統領から現金をプレゼントされて懐は温かい。天候は良くなり、ワクチン接種で移動制限も緩やかになる。アメリカ人の消費本能はおおいに刺激されています。

 リベンジ消費はインフレを引き起こす可能性が高いが、そのインフレは持続するのかと質問されたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、「一過性で終わるだろう」と答えました。

 物価に上昇圧力がかかるとしてもそれは一時的。移動制限の解除に伴い消費がモノからサービスへ移り、またはサプライチェーンの修復によって需要と供給の不均衡が解消されたなら、インフレ上昇の勢いは止まる。FRBが経済再開によるインフレは「無視」するとの立場をとっている理由はここにあります。

 しかし、物価が上昇するほど、供給がインフレを抑制できなくなるリスクもまた高まる。マーケットは、FRBとは反対にインフレが一過性で終わるはずがないと考えはじめています。

※「毎ヨミ!為替Walker」は、3月24日(水)~4月1日(木)まで休載です。次回掲載は4月2日(金)の予定です。