米雇用統計の「ウソ」

 もう少しすると、また次回の米雇用統計発表の日が巡って来ますが、今後の雇用統計は、失業率はもちろんのこと 賃金上昇に再び注目が集まっています。消費と景気の関係は強く、賃金上昇は消費拡大につながります。

 2月の平均労働賃金は前年比+5.3%に上昇。第2四半期の米国の消費拡大を予感させる数字という人もいます。ところが、雇用統計上の平均労働賃金と、実際の昇給とはそれほど関係がないようです。

 平均労働賃金が上昇したのは、コロナによるレイオフで、低賃金で働く接客業などの従業員が大量にデータから外れたことによる統計的な理由でした。実際、コロナ流行直後の2020年4月の平均労働賃金は、3%から8%に急上昇しています。

 最新の雇用データによると、レジャーと接客業の雇用が35.5万人の大幅増。レイオフされた人たちが職場に大量復帰していることを示しています。そうなれば当然、平均値は低下することになる。加えて4月以降はベース効果の影響があるので、前年比の伸び率で大幅下落する予想。平均労働賃金は乱高下の後、結局、現在よりだいぶん低い水準で安定することになるでしょう。一時的な平均労働賃金の上昇をもとにインフレ上昇を期待してはいけないということです。