“高値維持”、“ジグザグ”、“低位から反発”、積立はどれが有利?

 以下の図は、超長期的な純金積立を想定し、3つの値動きをイメージしたものです。3ついずれも6,000円/グラムで積立を開始しています。

[1] 高値維持:5年間上昇して約9,000円に達し、その後の5年間下落して約7,500円(取引開始時比+約1,500円)で取引終了。

[2]ジグザグ:2年間ごとに上昇下落を繰り返し(最大約9,000円、最低約3,000円)、取引開始と同水準で取引終了。

[3] 低位から反発:5年間下落して約3,000円に達し、その後の5年間上昇して約4,500円(取引開始時比-約1,500円)で取引終了。

図:金相場の長期的な3つの値動きのイメージ 単位:円/グラム

出所:筆者作成

出所:筆者作成

 10年後、評価額はどのパターンが最も大きくなるでしょうか?

 本シミュレーションでは、投資額を毎月1万円、売買手数料を1.65%(税込)で計算しています(保管料などのコストはゼロ円で計算)。手数料(162円)を差し引いた9,838円を営業日数で按分した額で毎営業日、金を購入します。按分時に発生する端数分はまとめて月初めの買付け時に上乗せしています。

図:上記3パターンの評価額の推移 単位:円

出所:筆者作成

 10年後、評価額が最も大きくなったのは、[3]の“低位からの反発”(132万円)でした。僅差で[2]の“ジグザグ”(130万円)、次いで[1]“高値維持”(113万円)でした。高値を維持していればよいわけではないことがわかります。

 10年間(120カ月)、毎月1万円を積み立てた場合、120万円を投じることになりますが、評価額が120万円を割った[1]“高値維持”は全体の損益がマイナスだったことになります。

 往々にして、投資は価格が上がる(騰がる)ことが正義のように語られますが、純金積立を含んだ積立取引は、上がる(騰がる)ことだけが正義ではない、と言えます。なぜなのでしょうか。