中国株投資の注意点2:企業に対する中国当局の干渉

 中国当局による企業への干渉の例として、アントグループの上場延期が挙げられます。

 アントグループは、12億人のユーザー数を誇るスマホ決済の「支付宝(アリペイ)」事業を抱えるアリババグループ傘下の金融会社です。本来は、昨年11月5日に香港と上海科創板に上場する予定で、世界最大のIPO(新規公開株)になるともいわれていたのですが、直前の11月3日に突如として上場延期が発表されました。

 上場延期の理由については明らかにされておらず、「アリババグループのトップである、馬雲(ジャック・マー)氏が中国の金融当局を批判したことが問題視された」「民主派への弾圧を強めている香港情勢を受けて、習近平(シー・ジンピン)が体制の強化を狙ったアピール」「これからデジタル人民元を普及させたい中国当局にとって、制御できないほど民間金融が普及してもらっては困るので、排除の動きに出た」など、さまざまな臆測を呼んでいます。

 アントグループの上場が延期となった後も、スマホ経由の銀行預金サービスを一部取り止めたり、「独占的行為」の疑いでアリババグループの調査が開始されたりしており、いずれにしても当局の強い干渉があったことは想像できます。

 また、3月5日から開催される全人代(全国人民代表大会)ではネット・IT企業を対象とした「独占禁止法」の改正が議論されると言われています。